大樹へと 愛情注ぎし 娘たち 認知の母の 悲しみ思う
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龍昇る 風に煽られ 舞う世情 鬼の笑いは 如何になるやら
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うんうん それは資本主義彼氏が悪いね じゃあ解体するね
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春遠き 沈む心に 皆の詩 心和ます 我の灯
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日高屋のラーメンにこそときめきを 一人で過ごせる東京の夜
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幾度の 冒険の先花嫁を 悩み選ぶは いつもビアンカ
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諦めは赤より青の信号機 さあ諦めて早く進めと
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何気なく 私が欲しいと つぶやいた 小さなピアスを 覚えてたあなた
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仏壇と猫さん二匹母さんを見ててくれよと言い出る夜勤
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また今度 雑誌を見ながら した約束 あなたと行きたい 何年経っても
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クロッカス咲いてる雨と車庫の中ホコリのにおいするのだと春
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財宝をほりだすわけじゃないけれど楽しんでいる猫砂さらい
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きみの瞳に絹の流れが滔々と巻いて光ってささやいている
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僕だけの部屋で君の声言葉風呂場、キッチン、リビングルーム、
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テレビ消し 無音の孤独を 安らぎに 主張強めな きみの寝息で
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美味しいね 私が入れる コーヒーを 褒めるあなたの 笑顔が好きで
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あなたしか いないと思った 三年前 今は思い出だけが 残るこの部屋
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なにもないひとに与えたなにもかも 真夜中に呼ぶただひとつの名
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爪の横深紅の粒がてらてらとささくれだけで得る宝石
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大人になりたくない 君からあふれる赤黒いかたまり
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諭吉さま一葉さまもおそろいでやはり新築の財布はいいでしょ
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「桜子」と名付けられた子駆けていく娘と孫の待つ花の下
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とちおとめこぼしたきみがあかくなり団子より花君が欲しい
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煮物する茄子を洗って切る前に ねこをひと撫で「すこー」と寝息
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腫瘍になった傷みを引っ掻いた 賞味期限切れの夢
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佐保川の川路桜の思い出を書き置きたしと友言い遺し
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今日も出たスプーン投げの新記録 息子よごはん遊ばず食べて 
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麦わら帽 水着ジンベエ 三月で 夏の風吹く 西松屋かな
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春雨が 潤す蕾に 宿るのは 生命の息吹 春を告げる
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ぎこちないホケキョの囀り微笑まし春まだ浅い神社の杜で
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