浦々を掠め盛夏の洋上にヒバリ巨きな疑問符を置く
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鳴き声は 異性を惹き付けるためらしい 僕の嘆きは 頬が引きつく
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私は 殻から出れぬ セミである どうかパキッと 潰してください
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美しい君の横顔、背の高さ。忘れたかったが改めて知る
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檸檬にも本の匂ひは残れるや触れあふ点の刹那のえにし
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本の上無為に置きたる檸檬にも定まる点の必然やあり
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繕った言葉ばかりが物語る わたしはわたしを犠牲にしている
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四つ辻に埋めたことばを掘り起こし灰紫の海に溺れる
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ただ一度肌を重ねたそれだけで傷つけられた証に出来ず
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「どっか行こ」と騒ぐ朝の声を左から右へ流す扇風機
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ゲーセンの壊れたレバー押したときたまにふりむくきみの清しさ
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おだやかで足音立てない君の死は ベルベットみたいな手触りだった
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ことのはの林立してゐる気色より歌にほひ立ちときに迷へる
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葉はあまたいづれをらば光り来む永久とはにかかやくことのはのうち
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西つ方うす色にじむ階調を紫陽花雲と名づけてみむや
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平積みの本の天辺てへんの檸檬へと夜は月光こぼし与ふる
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ほの光る檸檬のかたちの放ちたる南の島のカナリヤのこゑ
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瑠璃鉢にみづをたたへて花びらと葉を浮かべただたゆたひてみむ
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間違ったラインからきた返信が 久方ぶりの会話となりぬ
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旅先の君がノートに書きとめぬ夏を小さな歌に留める
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さいはてのあいだに横たわるリーマン球を弄ぶ君
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0キロのお菓子を食べて泣いている口のニキビが痛くてしみる
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‪そこに在るさり気なさ ただそのままにそっと置くかのような言葉を
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イグアナをgoogle earthで探してる "404 not found"
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一抹の恋をゆめみた祭囃子 しがない夏に生きております
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素晴らしき出来栄えのパン焼けた日に一緒にこのまちを出ていこう
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浪の下 水精すいしょうの砕くる 都は溶け 蝉の時雨の 音にぞかへる
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原子と原子は混ざることがない テトラポッド乗り口笛を吹く
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旅先の君のノートを飛び出した君を留める夏のコラージュ
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空にある人の軌跡を映しつつメダカの鉢にメダカは泳ぐ
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