戯れに呟きてもまだ応え無く 鳴かざりし鳥を 眺む夏の日
2
好きも嫌いも軽くなった世界で　カメラ越しに振り撒かれる愛よ
5
ひとときの輝き見るたび　常削る　心を亡くし銭も無くし
2
電気消しベッド戻るとき　床にいる　ねこ踏まないよう　すり足で戻る
10
ねこ母をフミフミで起こす術おぼえ　ねこ朝ゴハン　今日も１時半
7
名作を見た翌朝の台所　卵焼き焼き、センチメンタル。
6
減りゆかぬ 課題に埋もれて 時計見る　もうシンデレラも寝る頃だろうに
11
純粋な楽しさなんて小３の夏休み以来感じてないかも
5
遅ればせ秋の気配の朝夕にシフォンブラウス似合いの婦人
10
長文にすべきをあえて短歌にし、誤解されてもまあ仕方ない
7
紫の煙がピンクに見えた　副流煙越しの君が好きだよ
5
つまらない大人になった　淡々と見つめる先で花火弾ける
12
裾が濡れると言うのも聞かずに波に足浸す君が欲しくなる
2
一歩踏み出そう　そんなことくらい分かってるんだ　分かってるんだ
6
抑制が美徳じゃないと私たち知ってはいても今日もこんなだ
7
美味しいの　あなたの淹れた　コーヒーが　その一言（ひとこと）で　騙されている
5
人類は カルバンクラインの パンツ履け 香水は マルジェラにしろ
3
祖母が言う バラが好きなの それよりも 　それ見る夫の 横顔が好き
4
人と人 支え合っての 人ならば 　独りの私 人一人未満
7
真ん中を行く人　僕は掘って行く　ここでさよなら、地球のみんな
3
六歳の 息子と祖父が 肩並べ 　見せてきたのは 二本の抜け歯
4
偶数は割り切れる 奇数は割り切れない あぶれているのはわたし
5
私にとってのカワイイを否定され続けて今に至るのです
3
怒ったり泣いたりスタンプ忙しい　母に愚痴りたい試合の結果
6
影縮み長き夜が始まれど 隣の君は夏より彼方
2
ぐったりと閉じた瞼の向こうだけ灯る「error」と「game over」
1
大きめのボールくわえて走るねこ　ひとりサッカー？バスケかもしれぬ
5
誕プレはいつもと違う焼肉屋 網交換すら緊張するね
2
ズタズタに切り裂く君の心の臓血は真っ黒で世界が闇に
1
社会的所属があるって安堵感 無職経験あるからわかる
9