佐堂織人
16
16
投稿数
115
夏空の残滓を食めば秋深し在庫限りのナス漬けが照る
13
子供らと過ぎ行く暑さ見送って帽子は眠る秋雨の中
9
ふるさとを離れて気づくかの地にも匂いありしとホーム踏み出す
8
チョコレート 握った手の中溶けないで 十四日の頬 手をあて帰り道
8
おしゃれして知ってる君が遠くなるもう時間だね 似合ってるよ
13
背伸びして隣を歩く君近く グラつくカカトで仕掛ける5センチ
8
これあげる 君の手の中揺れていた 萎れた色を しあわせと名づく
5
田の神が端切れさらうか山錦 蜻蛉あかあか金衣に散らせて
6
土と垢拒む人々行き交えど風に染みしか獣臭いて
7
山なしの土地と言えども月影は硝子と画面の眩さに見ゆ
6
荒れ心甘いクリームすり込んでいつか笑って食べられたら、ね
5
かの歌人享年近き我にして歌詠みの寿命数え始める
8
わし掴み好きよと毟りたいけれど あえてつまんで問う好き嫌い / 花占い
9
年経ても二階に干さる布団見て 父母かくしゃくと緩む子心
15
紅と白 地に脱ぎ捨てる百日紅 サマードレスも衣替えかな
16
年経ても噛んだ記憶は苦々し 久しき盆に鬼灯が鳴る
13
青紅葉 雨滴をはじき水遊び 柔らかな手は 嬰児みどりごのごと
6
今詠え たとえ名歌とならずとも 忘れたくない瞬間ときがあるなら
25
疲れ果て雨中に眠る古帽子 子どもと夏は見送れたのか
8
いつ来るの? 頑張り要らぬ日 それまでは 頑張らなくちゃ頑張らなくちゃ
8
雷神も雨忘るらし暑さにて氷菓共にし更ける夜あり
9
雷神と蝉の動くは朝と夕 夏の時雨は昼には降らぬ
9
いつの日か積み上げしもの弾けても次な種成せフウセンカズラ
9
幼子が目に焼き付けし色花火 遠き音来て瞼に咲かせ
12
会議でさ いいこと言ったがいたな いやうちの部署って男だけだろ / 日常の怪
10
コンクリに打ち水散れば甘露なり 蝶集いてはいのち吸う午後
12
うちのチャリ盗まれてもまた戻るんだ あ、ほらニュースに。事故ったんだね / 日常の怪
6
服干してふと目が合えば白妙の衣飛び去り今日もはればれ / 日常の怪
7
身の汚れ涙も流し水垢の香も愛おしき我が家の風呂よ
7
風呂掃除? ならおすすめはこの業者 うまい垢だと値引き入るよ / 日常の怪
5