夢と希望 追って育てた このお腹  今ここにある 米と脂肪や
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買いたての 包丁すでに ダメになる  キレ味抜群 今日の妻かな
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お金より 妻の心を 掴みたい  私の憧れ 追うは父の背
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導火線短いママで悪いけど靴下履くのに五分で爆発
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炊飯器覗きて今日から秋だねと言いし五歳の食む栗なりや
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幸せは痛みを伴うものと知る愛する子供に蹴られる寝床
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日々溜まるささくれ立った気持ちごと洗い流せよオキシクリーン
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最後の親が亡くなると、自分の老後を考え始める
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べったりと空覆う黒剥がすためいつでも爪は尖らせておく
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君の首から漂ってる林檎アップルの匂いに溶かしてよ僕の理性
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あの時に本屋で立ち読みしなければどしゃ降りにあうこともなかった
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「咲き誇れそれは勇気だ」未来からぼくを見ている僕が叫んで
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日常を重ねて厚き指先に ぴりりと沁みる昨日の後悔
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もし君があの人選ぶのだとしても、化石になったら還ってきてね。
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私にはゼロがかかっているせいで一生あなたと一緒になれない
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忘れないあの日の君のポケットの中にはあった裏側の味
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中指と人差し指の指先の感触違う中挽きの豆
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ペットボトルの俳句ともお別れだ 一気に飲み干し 保安検査場
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六日目で神は地球をおつくりに。僕は七日で二回炊飯
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肋骨を折られて血を吐きナイアガラ 愛の重さはこれくらいでいい
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かぼちゃのスープの日は少し笑う真顔のつもりのきみが好きだよ
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方向音痴を口実に話しかけるには あまりに慣れすぎた街
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万物をティガレックスに形容す 尻尾は隣のクラスのあの子だ
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風強し 草なぎ剛 ムロツヨシ 風強い日の母の持ちギャグ
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晩御飯 何も浮かばぬ 一時間 浮かんだ短歌は ここに置くのに
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顔色を 窺いながら悪さする 猫も子供も 同じ可愛さ
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夜明け前 洗った箸が カゴに立つ 自分に向けた 線香のよう
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プクプクと エアレーションから 揺れる泡 祭の金魚も今はぷくぷく
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年とって何もどうでもよくなってこういうことも辛かったなと
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はなの舞 目利きの銀次 山内農場 そこでようやく、あなたとわたし
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