亡き母の読み耽りゐし中也詩集 われもこの年ゆそを読み耽る
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『吾輩は猫である』てふ本のペエジにいまだすすまぬしをり褪せてをり
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夕暮れに 数羽の白鳥 舞い降りる 湖面ざわめく 冬の使者たち
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をさなどち かげおくりして並びたるかたへの影は今はあらずも
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許されてあるこの契り有り難けど 思ふどちして永すぎた春
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希死念慮 強迫観念 自責思考、せめてアナタを傷付けぬよう
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眠れずにスマホの明かりを手に包み、「あったかいね」と嘘をつくのだ。
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「死ぬんなら、迷惑かけず」と言われても、何も出来ずにただ飯を食う
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この国は ギャング組織が 勝ち組か 闇のバイトも 奴等の主宰
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こりゃヤバい 神無月だが 三十度 ネルシャツ未だ 箪笥の肥やし
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文鳥の餌をたくさん買ってきた口に入れたの撒き散らすから
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我が子とは私が生きた証とも夫婦の過去の輝きとも言う
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「貧乏は母さんだけじゃありません。」保護費あげちゃう馬鹿な母親
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車窓より見ゆる富士山 一年ひととせにいくつの出会い別れを見けむ
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背中には羽根があるけど天使じゃない娘びいきのバカ親だよね
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浴槽の温度が熱いか冷たいか忘れるけど十月下旬
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宇宙より暗くてひろいかの瞳 のぞきこむには酸素が足りず
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なぜかしら上から人を眺めたく時々のぼるあべのハルカス
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雑談がもし名曲に変わるなら胸がときめく話をしようよ
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こんぜんとかぼちゃも芋も大鍋のたぎつ市中にわれも混じらば
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ポリタンク 灯油を買って ホクホクに 寒い日待たず つけたストーブ
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絡ませて 紡ぎ重ねた 文字越しの 貴方との日々 今はなき日々
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奥さんに先に謝る明日の朝少し朝刊広げたいから
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秋雨が服をとおして肌にまでしみる時間でさよならをする
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ふいに来る稚内から雪だより律儀に北の果てからの冬
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なつのこり くもの巣からんだ ちょうちょうも のざらし七日 しょくひんろすね
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ナデナデされ ふわわがでるの りらっくす ねこのしんらい信頼 代えがたきもの
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走馬灯 八万年に一度だけ降る星を見るあなたのまつ毛/アトラス彗星
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にわか以下 優勝したの チラシ見て 初めて知るも セールに夢中
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幸せは歩いてこない、その先を知らない歌を口ずさみ、風呂
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