そこかしこ 微かな決意 街に咲く星ぼしに似て 日曜の朝
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おめでとう 百首に拍手 これからも 区切りつけても やめないでよね
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第六元素純粋触媒より発見す西暦一八九六年・砂時計過程一室四平方メートルの国家
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散らぬ間に繰り返し見む桜花む春を待つ身にしあらねば
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ゆめセピア色の桜を見なさるな思ひ出までの道へ散りつつ
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桜咲く山路の風を恨むまじ散らずはやがて出でず朽ちまし (「やがて」は「そのまま」の意味
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花曇り 演奏前の君の顔 少し覗いた朝日が照らす
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夢前川過ぎりき彼奴こそは敵 芥子菜色の襯衣ぞあざらけき
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桜咲くLINEでくれし友の絵の桜既読の春追ひかけよ
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地球物理的運動すなはち万物の起源学家系図に零る洪水計
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ゆめ知らず智慧の階段踏みしめて錬金化学に塩基無水・素
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弁証法かじりて反の道歩く きびしき岩場に一輪の花
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スカイブルー快音響く大谷の「試合はやはりLIVEでしょう」
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はなみにも苦き思い出ひとひらの 駆ける子ころぶ赤鼻になる
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詠み人の 花鳥風月様々に 春光うららに うたかたに降る
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初恋をしたがる古希はラブレター書きまくってもまだ出会いなし
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春なのに出会いの春じゃなく待っているのは自由だけどエレジー
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川柳に七七を足す仲なのに出会いまだなく春はいつかな
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嫌いだと言われ泣き泣き諦めた夜に出会いがありまた女
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出会いの春に引きこもりしている古希はレコード好きでも詞は書けぬ
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句を歌を詠むようになりいい出会いあり恋になれ若いな甘い
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いい出会いだったのに「いい友達になりましょう」からもう指切りも
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春ですね出会いの季節考(とう)さんに妣(かあ)さんにまた会いたい今日も
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過活動膀胱ずっと泣いている治してくれる医に出会いたい
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仏教にいふ「抜苦与楽」の精神をターミナルケアに反映すべし
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ひとりぼっちだから月すら眩しくて闇に逃げ込むくすんだ鼠
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北極星になれはしない星があり君の世界で名前付きネームドとなる
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とにかくさやれることをやるしかないよやれることだけしかできないし
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我々は誰しもいつか死ぬんです 皆さんそれを分かっていますか
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たすけて、と小さく声に出してみる夜もある 返事はもちろん無い
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