在りし日の祖父母の家は和風です。夜の縁側、晩夏を過ごした。
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風呂桶の真ん中空いて吹きすさぶ秋の夜風を涼しく思う
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虫のようにひたむきにすら生きられずただ転がって時間が溶ける
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海色のインクで引いた直線の彼方に浮かぶ国の友達
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二発目はおぼえているかその前の花を もいちど笑ってみせて
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声交わす会話わすれる人類がアップデートする以心伝心?
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二週間前には蝉の鳴く道を急にふるびた自転車でゆく
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回覧のコピー紙に捺す朱の判に生きた証の残るだろうか
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出会いとは暴力なのにわたしたちほらまたこうして近づいていく
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一筋の髪がはりつく首筋につい目を伏せた同じ制服
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一途さの答えとなって落ちているあーしたてんきになあれのリズム
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涼風に撫でられるような休息を尊く想うことで生きてる
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家族とふ欠けたピースを寄せ集めママの味する飴玉ひとつ
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紫玉燃ゆ 俺の最期の閃光も閉じ込められてきらきらになれ
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コンビニのレジでまごつくようになりデジタル弱者で生きゆく覚悟
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鏡向こうアイシャドウぬる目の辺り亡き母映り浅く息吸う
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あやとりはいつも私で絡まった田中みな実になれないわたし
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今更に盛り付けられた言葉さえ傷んでいると気付けないから
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みぎひだり雨に揺れつつ秋桜コスモスは閉じた瞳に香りを残す
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窓開けて半袖の腕すり抜ける秋の色した風木霊する
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夕焼けを合図にカーテン閉めるときここぞとばかりレールははしゃぐ
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なみなみとグラスを満たす透明は溢れてしまう不安があって
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テキストのむこうに生身の人がいる、と言い切れるのもいつまでだろう
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我に差す朝の光の烈しさよ 腐らせ捨てる罪なき無花果
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私らは幸せなのよ、と主張するために焼かれる紅いメレンゲ
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何者かになろうとしなくていいんだよ 生きてるだけで あなたなんだよ
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優しさにただただ甘えて生かされる 何もないのは僕でしかない
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あまりにも 生き辛かろう あまりにも やわかい肌で やわかい瞳で
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この場所はわたくしたちの夢の跡祝へ地上に降りた星たち(YOKOHAMA)
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観覧車ゆうらり回り想い出の月を映して洋々と海(YOKOHAMA)
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