闇のなか照らすひかりも気づかずに眼つむり探す落とした欠片
16
これという理由もなくわたしを嫌う幸せそうな顔の青年
3
星のかずほどまたたいて まどの外 ほかの星座を見上げてごらん
11
限られた人だけにしか叶わない恋と呼ばれる不変の悪魔
6
くらべても まともな人がいないから ひとりを選ぶことができたの
7
苦しみのパターンが決まっていることの煩わしいやら安心するやら
2
部屋の中 まだ寝るなよと 囁く蚊 叩けど叩けど ゾンビのように
7
せつなさの中にもツナが入ってる底でつぶれたお前のように
11
ミシミシと痛む腰骨さすりつつなぁんもできん休みを過ごす
8
こころなしか 「さよなら」の増える夜が好き 今をいつかにパージして朝
5
連勝のカープ朝からビール飲む今夜も勝つぞ楽しみだから
2
イチオシの洋菓子店に糖尿が行けるのは妻女子でまた留守
2
五本指広げ続けた貴方の手 五ではなかった今日を忘れぬ
6
別れ話の前に宇宙のはじまりから全部説明して
2
雨に濡れ交わす吐息と体温と胸の高鳴りまで混ぜあって
5
おやすみと 言えないことの 寂しさを 瞼の裏の 君には言えず
10
光る窓ガタンゴトンと橋の上暗闇の中音も消えてく
8
献血の葉書届いた水無月や いざゆけ涙になるその前に
13
またねって 君が言うから 生きられる 明けないかもと 思う夜でも
13
夢に行く前に言いたいことがある 今日のお昼はカレーだったよ
7
「灯屋くん」と呼んでた人も いましたね…戻って来てね#俺たちの灯屋
19
灯屋さんいつでも戻って来て下さい 見習いたいです向上心を
17
目を閉じて まぶたの裏の 模様見る やるべきことは 他にあるのに
13
変わりえぬ自らという器へとせめて色とりどりのドリンクを
3
「頑張る」と壊れた膝に声かける 「頑張れ」よりも力が入る
24
手のしび れ膝の痛みは高齢の誰にでもある君だけでない
11
水無月もスペシャルブレンド買いもとめミルに掛ければ黒南風くろはえの吹く
8
燕たち みな巣立ちして からとなり 夏の空へと 羽ばたいてゆけ
23
文字の波寄せては散って繰り返し クロスワードの三十一みそひと文字は
12
おとなひしドーム薄暮はくぼに影となり 人類ひとはなぜ学ばぬのかと問ふ /ヒロシマ
21