帰り道たったひとりに向けられた笑顔は名称未設定のゆめ
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酔眼に躍る麒麟の凛々しさよ 明日は月曜 背伸びをしてみる
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コーヒーの色に最も近い黒 何かと探し秋の夜は過ぐ
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昨日会い今日もLINEで会話して会いたさ溢れる日曜の夜
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ロマンとか要らんよ、うまい飯食ってお風呂上がりに桃鉄しよう
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アキアカネ、ツクツクホウシ、キリギリス 五感に沁みる 季節の移ろい
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林檎には芯が葡萄には種がある捨てないでくれ母よ心を
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近づけば近づくほどに遠くなる君の心はどこにあるんだ
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手に提げたビニール袋がどちらかといえば私を連れて帰った
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虫さされムヒを塗りつつ思い出す昨日の夜君との花火
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「お疲れ」や「忙しかった」と交わすLINE 気づけば日本酒 半分空けてる
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「寒さむ」と声があがって身が震え秋の訪れ感じる早朝
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五輪見て「自分も出たい」と語る子の 机に運動会中止の紙
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授業中窓の向こうの体育を眺めているのもあと半年か
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今月ももう三分の一終わったと気付いて啜る苦き珈琲
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たれひとり入れぬ書斎の本棚に日がなつ告げてまた埃落つ
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乳色の目薬をさすきみの朝山鳩たちのくるくる唄う
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江戸時代海だった街に住み着いてわざわざ電車で海を見に行く
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わたくしが愛せなかったビル群の十人十色を溶いた灰色
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貴方への言葉を装填した銃を 携行しておく。セーフティは外せない
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太陽系宇宙の中の一点の豆腐屋で厚揚げ二枚買う
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「少しだけ立ち止まるのも良いですよ」 (また歩けるとも限らないのに?)
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俺を射る吹き矢もうっかり吸うだろう石鹸水でむせてるつむじ
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ボールペンカチカチさせて爆発を期待している悪い子だれだ
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「天使が通る」とはよく言ったものだ ホワイトノイズの向こうの君
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爪を塗る密やかな夜の静けさよ 明日は遠くへ歩いていこう
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朝はいつも布団の上で真夜中にうたった歌を思い出そうとする
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目が覚めて忘れた夢を思い出すとき、死んだものしかいなくなっている
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傷ついているのよ君は 無自覚の白いTシャツだけが知ってる
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二週間前の僕らの生活を試されるため おでこ差し出す
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