森の奥 沈むあなたに手をのばし 溺死したってかまわなかった
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旧友と会って交わすはワクチンと明日の天気と白髪の話
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冷凍のうどんをレンジで温めて冷水で締めて啜って溜息
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あの頃と変わらぬ君を夢に見て声もかけずに朝日を拝む
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夏休みに食べたいもの食べ切れず秋刀魚不漁のニュース届く
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鈍色の脳と空より成るうたを残らず毟り食む百舌もずになれ
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正門で君を待ちたい感情は郵便ポストに化けているのだ
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見渡せば半袖がありコートもありたった数週四季の盲点
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生成り色オフホワイトとアイボリーその違いこそ美である気がする
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縛られていると落ち着く人もいてたやすく「解放」などと言えない
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これからだ 残り時間は あと二年 特許を書けば ちょうど潮時
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屈辱を 耐えて堪えて 20年 安月給に 平の役職
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最後には 思い知らせる 俺の価値 アヒルの子だって 白鳥だから
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季節とは匂いからまず変わるのであの窓いつも開けたままです
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泣いている君の頭を撫でながらけっこう僕もへこんでるんだ
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君のペン君の小説君のお茶 僕の部屋には君だけいない
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忍びよる秋に誘惑されるまま橙色のストールを巻く
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さらさらと稲穂の揺れる稲刈りは黄玉トパーズ色の風畦をゆく
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右腕の二十七個の骨たちを励ましなだめ試験に挑む
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繊月せんげつやいばの先にぶら下がりそこから何が見えるというの
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「監視されている」と「見守られている」の重なるあたりに移り住む人
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あの人の唇がまだ眼の裏にあるから今日も眠れずにいる
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燃えるもの燃えて全てを忘れるのいつかの写真焚き火に焚べる
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朝焼けが来れば僕らは気がふれる破れた履歴書花束にして
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未読で魅惑的な塔に涙をこらえ机に向かう私
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束の間の 幸せ追えば 付いてくる 空白の時 満たされぬまま
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永遠の 幸せ以外 幸せと 呼べる価値なし 悲しい遊び
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偽りの 幸せありて 幻を 食らいていつも 腹ペコになり
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愚かなる 罪から離れ 黙々と 我が道を行け 脇目もふらず
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失いて 気づくことあり 幸せは 謙虚になりて 溢れるように
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