食い意地が張っているのか満月を見て幸水梨思い出す僕
4
満月は黄色信号徐行してゆっくり眺める家路の砂利道
4
窓隔て小学生がもーいいかい?赤本解きつつ思い出すあの日
3
車窓から見える明りは幸せの象徴でしょう遠いきらめき
5
恋をして届かぬ距離を思い知り 今日の午後五時無事恋を捨て
1
貧しくて 恥ずかしいほど 恋しくて この世終われば すべて思い出
2
彼の言う理想に君が突き返す「いけすかない」がずっと眩しい
0
大空に黒の羅紗紙敷き詰めて夜の子どもの爪切りの痕
1
背に触れた鮮烈なりし一刹那 落下、あるいは八月の夢 
2
ポケットのはつなつ香る片道切符くちづけ青い記憶をつれて
3
見はるかす大地と私の北極星春掴むまでそこに輝け
2
歌にすらならない恋を口ずさみ 音掠れては夏を見送る
4
望月を眺めて君を思い出す満点の笑み思いがけずに
1
もし四季が線ではなくて円ならば秋は春と目が合うのでしょう
13
ねぇ今日の夜空に浮かぶあの月は待宵月って言うんだってさ
2
3年間だからいいと言うけれどあと30年通いたいくらい
3
寝る前のまどろみただよう静謐にクーラーの音まだ夏去りぬ
1
うす雲の影から光る中秋は同じ空見る陽に負けんぞと
0
「嫌がらせとして長生きしてやる」と考えてもいい。参考までに。
0
サントリービターキャラメルラテの夜 絡める舌の 甘さ探して
1
「暗い」とか「冷たい」だとか人々は光や熱を求めすぎてる
4
急がねば 急いで恋にしなければ 気力が果ててしまわぬ前に
1
恋人がソファーを発って恋人の優しい不在に私が座る
1
いくらでも捨ててしまっていいような何かばかりが積もりゆく部屋
5
いい加減 しつこく願い 断られ 願う相手や やり方変えて
0
ユザワヤでギンガムチェックの生地を手にとって想像する未来形
4
天国で高笑いする神の目を射抜く弾丸ひとつください
1
いつか来し岬に立ちて細波の音の中僕の吹くナラタージュ
5
まあいいや暦の上での晩秋に上着も羽織らず土手を歩こう
7
生きてると 私に似てるものも見る 血の色してた朝焼けとかね
1