八重桜 共に過ごした年月が 古き団地に静かに咲いて
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「お待たせ」とドア開け浮かぶ表情を想像してはまた通り過ぎ
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交差点 ママチャリご婦人 すれ違い 荷台の子犬に「キャウン」と言われ
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せめてものターバン巻いて黄砂避け 髪はお下げに結って婦人科
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二年前たしかにきみはそこにいてカフェオレ飲んでた もういない なぜ?
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禿たけど 悪いこととは思わない ああシャンプーが 簡単ですわ
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カレールー 今や定価じゃ 高級品 特売旧価で 嬉し懐かし
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開店初日オープンは テンション上がり 財布の紐 緩む誘惑 理性は何処
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ただ白く黄砂に霞む空に向け負けじと伸びる銀杏いちょうの新緑
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文字なしで 言葉を長く残すため 歌を作った誰かを拝む
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新店舗 初日に買い出し 人だかり 秘策は自転車 停めるに困らず
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暴力に勝てるものはただ一つ それは情報 われは信じる
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友亡くし 今は友無き この身には まみえずとても Utakataが友
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道端の花にも流行りがあるようで 天人唐草減ったようだ
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「いいね」がね ほしくて誰かに 「いいね」をね つける毎日 「いいね」いいなあ
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びっくりか それともあえてやっぱりか 皆の反応 ああ楽しみだ
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本を読み 言葉選びの 極意知る 新たな世界 短歌の楽しさ
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いつかのきみレム睡眠に影をみる (遠いところにいかないでくれ)
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ブロックや無視をするのは構わんが、場所弁えて態度も変えて
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許しません 雪見だいふくねだる奴 満員電車で足広げる奴
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夢の中「あなたが寝ている」と医者が言う それは何かと考える朝
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果てしない山の面影 身に染みて  夢に泣く今日 そびえ立つ塔
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ととのった花壇のよりもタンポポやおおいぬカタバミからすのえんどう
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日が長くなったそれだけで気がほぐれ まだ何かやれる気がしてくるんだ
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10円の値上げの分だけ パンちょっと 分厚くなったか 街のパン屋よ
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起きてまず ねこたち遊んだあと片す きょうもげんきに ド派手にあそんだ
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寝巻かも部屋着も判らぬこの服を そろそろ薄手にかえたい季節か
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錯覚か 木々の成長 早過ぎて わたしの記憶 おいてけぼり
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酔い止めを飲んで揺られる車窓の向こう流れる光
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散りゆくはソメイヨシノの花びらよ 咲くヤマザクラ 人の世もかな
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