帰宅時の電車の窓にながれてく家の灯りは誰かの人生
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誰よりも早く終端速度へと至れる崖は地図上にない
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坂道で出会った人の生態を考え歩く私はくだる
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端的に事実を言うが、一人旅をしても殺されはしなかった。
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「世の中は怖い人だらけだから」と擦り寄ってくるあんたが怖い
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一つずつ 滑舌悪く 伝わらず 苦手意識の ドライブスルー 
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かぶり物 してる間は 別人さ 誰しもあるよ 変身願望
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うれしくて万年筆にインク入れ手紙したため投函するよ
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クロールの息継ぎに似た必死さであなたはいつも煙草を吸うよね
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一列に テントがずらり 本並ぶ 出会いの広場 古本祭り
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これこそが 今年ラストのクールバブ そう唱えつつ 何回いくつ入れたか
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溜まってくトークが主に公式のアカウントばかりで寂しい
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ここに居て 見知らぬ街の 歌人うたびとの 暮らし趣 思いを馳せる
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子どもらの 体操服が捨てられず 裾折り上げて 今宵のパジャマ
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ぼくばかりが遠ざかるなり道はずれいま一輪の花を咥える
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四季花火打ち上げられて消えて逝く序曲は四部「秋」の章
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秋の夜に 上着羽織って見る花火 鮮やかにして もの悲しくもあり
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テーブルにガトーショコラが置いてあるそんな単純じゃないもぐもぐ
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二人してぢぃと見詰めるこの目と眼  澄んだ眸はキラリとうるむ(折句) 
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しあわせを願えないから唯一の殺意をあげる 鬼さん、こちら
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逝く夏と 来る秋出会うこの舞台 歌詠みの胸 ザワザワさせる
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箱庭をこわす痛みを引き受ける 方舟なしでたどりつくため
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美容院 美容師さんが20代 同世代でなくても平気?
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二の腕のプルプルとりたい 脂肪吸引 検討してます
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うずくまり肚の内にはあの時の正しい方の自分が爆ぜる
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幼きころを思い出し公園に寝る茜さす空一機の飛行機
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ありがとう悲しくなんてないんだよもしも私が人間ならば
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星見上げ走る足元支えるは あなたの叩く強き石橋
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誰かとか言わないどいて そのままでいいの気持ちは伝わらなくて
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わかくては ジェネレーションギャップ おおくみえ ゴールちかずきゃ 老いこしていたり
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