人々が病院に生まれ病院に死ぬことそれを文明と呼び
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こわい人もその一日の終わりにはふとんに入るのだからかわいい
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寝てる間に掻きすぎた背の虫刺され化膿止めを塗り秋は深まる
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そこにあるLEDの照明はたまに見上げる月よりもあか
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これまでも捨ててきたものを捨てようとしても捨てきれず口を尖らす
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まんげつが光を落とす ひらがなで書いてあるかのように円やか
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目的を 知らずに生きる 人間は 虚しいことも 忘れてしまう
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生きてると 思ってるだけ 人間は 思い込みだけ 生きてるつもり
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さあ走れ 息を鼻から 吸い込めば 息を口から 吐き出せるから
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一粒の 薬を飲めば 眠くなり 残り僅かの 命が目減り
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不平とか 不満を集め 火にくべて 明日の元気を 得ようじゃないか
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中秋の 名月とやら 見る気なし 息子の方が 大人じゃないか
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静かなる 一生終えて 華麗なる 栄光を着て 蘇るまで
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悔しさも 通り過ぎれば あきらめと 苦々しさで もうぐっちゃぐちゃ
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こちらから 声を掛けずば 誰からも 見向きもされぬ ああ老人は
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最近の世界は君を中心に回っているからそろそろ滅ぶ
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食い意地が張っているのか満月を見て幸水梨思い出す僕
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満月は黄色信号徐行してゆっくり眺める家路の砂利道
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窓隔て小学生がもーいいかい?赤本解きつつ思い出すあの日
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車窓から見える明りは幸せの象徴でしょう遠いきらめき
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恋をして届かぬ距離を思い知り 今日の午後五時無事恋を捨て
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貧しくて 恥ずかしいほど 恋しくて この世終われば すべて思い出
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彼の言う理想に君が突き返す「いけすかない」がずっと眩しい
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大空に黒の羅紗紙敷き詰めて夜の子どもの爪切りの痕
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背に触れた鮮烈なりし一刹那 落下、あるいは八月の夢 
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ポケットのはつなつ香る片道切符くちづけ青い記憶をつれて
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見はるかす大地と私の北極星春掴むまでそこに輝け
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歌にすらならない恋を口ずさみ 音掠れては夏を見送る
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望月を眺めて君を思い出す満点の笑み思いがけずに
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もし四季が線ではなくて円ならば秋は春と目が合うのでしょう
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