リビングの高温多湿に出しっぱの愛の形がとろけて大変
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真夜中に捨てた花束 わたしより綺麗に咲くのが許せなかった
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真夜中のラーメン旨し この夏の罪数えては両手を合わせ
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道の駅 寂れた店の芋餅と 山霧に咲く刺青姿
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想定の三分前に電車発つ今日は土曜と気付く昼下がり
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カントリーマアム小さくなったよねって遮断桿がしなるのを見てた
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丁寧に暮らせなかった窓辺にはからっぽのまま佇む花瓶
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期待して 振られ振られて 落胆し これが現実 思い知らされ
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欲望や恨み彩る新聞も今はカブトや窓拭きとなる
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野の中のピアノ風に流されてドが弾きたかった葉っぱひとひら
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せせらぎにツクツクボウシタンドラム奏でる人の足裏すが
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LEDの光は少し強すぎて閉じた瞼の奥行き深し
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台風の雨風叩く窓の音コロナの秋がまだ叩いてる
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この季節 この肌寒さ 空の色 条件揃ってハウリング
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直青の空に手を伸ばす 明日には君も一歳父母も一歳
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いまのうち隠しておこう哀しみは夜の暗がりブラックホール
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金色の蝶はリボンをたずさえてページの森を舞っております
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歩くほど遠く感じる「あの場所」は本当は無い理想の死に場
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栞だけいくつもあって人生は一冊の本のはずなのにね
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雨を待ち晴れを待ってはいつまでも君に会いたい理由を探す
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気怠さはワクチン接種のせいである誰に聴かせる言い訳でもなく
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稲刈りで飛んだ花粉でアレルギー 故郷の土地に嫌われた気がして
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牛乳の白さに恋し見つめてる 君はちっとも照れないね
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気圧だか湿気か何か知らないがやたらめったら気が滅入ってね
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眠りたいわけではないがこの脳が眠たがるから眠ってやるか
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福音がいつも遠くで鳴っている街灯の消えた路地にアカシア
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あの頃は頁をめくる指だけが私を遠くへ逃してくれた
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にちじょうに非日常を重ねたらうつくしいからもう目を閉じて
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鈴虫の歌にあわせて秋風を揺らす尻尾で指揮をする猫
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呼吸すらためらいもなくうばう手が背中で迷う 雨は夜降る
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