寿ぎの空はたかく あめふりをものともせずにきみはかがやく
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こころとは歌声である ほんとうの愛とか恋をそらんじている
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品川は夏だったのだ たしかな日 こころの発露に歌声がある
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文字を書く 機会がうんと ってきて 自分の名前 すらひさしぶり
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忘れ物取りに来るかなドア前にさり気なく置く片方のスリッパ
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深夜二時 左手首の傷跡に 心の傷も消してと願う
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泥だらけ 玄関の君 身構えて 父の笑み見て 少し微笑む
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駅前の行き交う人はセピア色遠方からの友を待つ暮れ
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一粒の キャラメルの為に 家事手伝い 危なっかしい足取りの三歳
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試験前 空調の音を聞き乍ら 瞼の落つるを止められぬ我
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出来ないね 「無かったことに」 無理だよね だってあるもん 好き、あるもん
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好きだとか言わなくたって分かり合う この歳なりの恋愛がある
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あと一歩 踏み出す勇気をくれるのは 貴方を想う私の心
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愛憎の坩堝るつぼの中で溶けて恋 歓び 嘆き 残ればまた愛
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ふと君が くれた言葉を思い出す 「君に笑顔でいてほしいから」
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塾帰り 夜風に揺れて 木々の葉が 囁く歌は 永遠とわに変わらず
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ゾッとしてみたいなんてわたしを見てから同じことが言えるかしら
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明日土曜10年ぶりに友と逢う きっと話題は介護や終活
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水面にナルキッソスのくびは落ち終にひとつのすがたになった
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思い出し 二十年前に詠んだ短歌うた 見返し和む 青さいとしき
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アルコールのようなメロウ 夢のよう ネオンみたいなテープが舞って
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ゆらめいた道をなにくそ歩いてく 眩しい空にとけるな私 
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キラキラの「オールフォーワン」苦しくて飛び出た君は深層に棲む \ ガラスの学校
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フライパン の小ぬりかべが 断末魔 の叫び こんにゃくステーキ
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エヘ実は 友達未満の知り合いの 短歌集出たので買っちゃいました(サインもいただいた)
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Tシャツに貴女の笑顔が映えていた思い出は今輝いている
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笹の葉に 願いを託し 我が想い 叶わぬ願い 川に流して
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夏の風虫の声と蛭の声今宵は宴チューハイ6
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人生が舟なら私はもう既に 転覆している誰か助けて
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悲しさに 横目の和えた 空ぬ間に 王家旅路は 白馬の滑車
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