悪態をつくこともないつるつるとすべるばかりのカルボナーラは
5
毛布　軽い毛布　フワフワッの毛布　お母樣がしいてくれました
3
コロコロにまとわる髪のいっぽんもれていてひっぱりだして捨てる
1
お犬様　隣で寝ても良いですか？　そこは私の布団ですが
4
広告の　漫画がいつも怖いから　詠いたいのに　謳えない
2
しゅわしゅわと口にしたとき　擽ったい口の感じが春に似ている
1
投げ捨てたスマートフォンが光ってる 君の震えを知らないままに
2
｢好き｣や｢愛｣の前に君が口にする珈琲の熱さが気がかりで
1
苦しみの 涙はあしたの 雨になり 涙も尽きない 雨も尽きない
1
苦しいって うめき叫ぶ 言の葉も うめき叫んで 言葉にならない
1
苦しいよ 君を思って 苦しいよ ただただ苦しい 君を思って
1
はらはらと泣ける君が妬ましい　綺麗で嫌だ、もう会いたくない
2
何もかも別にいらないけどいつか聴いた音楽と嘘を頂戴
1
胎内の命を秘めるロングコート　溢れん覚悟ベリーショート
1
「僕が今朝、食べたの何か当ててみて？」「また魚でしょ」「ううんカモメさ」
1
キャンバスの傷の一つをなぞっては可哀想にと泣く画家たちよ
1
もしあの日見た偶像があなただと知っていたとて見捨てたでしょう
2
走ってよ！追いつかれたら終わっちゃう！あたしはこんなに幸せなのに
1
起きました　世界に参加して間もないのに立派にも感情がある
2
見て、これが綺麗な水の生れ場所　いつでも好きに飲みにおいでね
1
オレンジと白と黒とでできている　これはきっとね世界も同じ
3
「この曲さ、みょんみょんするから好きなの」と言った八重歯とカクテルの汗
1
サラバンド　一人の夜のさやけしを濁せるものは　君の声だけ
0
マネの絵はまたねと言った君の眼を思い出すから被る天鵞絨
0
二つだけ歌詞を残してＣメロへ　いつもお前は仕方ないやつ
2
木曜の 晩から僕の 週末は 始まっている あと一日だけ
1
バスの窓 曇りを拭う指先に走るささくれ見ないフリして
2
紫の煙を揺らし安堵する　肩身が狭いと知ってはいるが
1
小松菜のお浸し噛みてシャキシャキと冬の葉ものの美味しいことよ
3
陽当たりの窓辺、引用の一行添えてしばらく冬の午後でした
1