倦みてやまぬ心は 空に翔べよとて 吹き抜けの空 ハンケチを投げ
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口許くちもとのニキビを潰してはうめき臆病なまま罰を受けゆく
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祖母が住むホームの天窓見上げたら そうねこんなに冬だったのね
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ひび割れたブラウン管を蹴り上げて最後の嘘を吐き出してくれ
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振り向けば貴方と過ごし年月を心静かに懐かしむ今
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なにもかも消え去るのだわ、Tミノをねじこまれていくように下から
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レポートを出すためだけに大学へ今日は一日二十二時間
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無垢だけで 踊り続けてられるほど 幼くなくて 前髪を切る
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目に見える傷はもらえなかったので 可視のものくらい くれてもいいでしょ
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落とし穴は 深くて出口が 見えません 光が無いのは 辛いものです
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恋という 落とし穴が ありました 僕はそこに 落ちたのです
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異次元へ繋がるうちの洗濯機 片方だけの靴下は行く
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あの夜に腕に抱えた温もりは僕だけのものであると思うこと
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積み上がる 来るかどうかも不確かな きみに捧げたりんごのカード
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うすっぺらな紙ひとつでは思いの陰り消せもせず可能な孵化を
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iPhoneを見つめる僕を見つめてる僕より僕の好み知るこれ
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音楽の教師になれず今はただ焼くか茹でるか卵見つめる
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今はまだ無謀なほどの夢掴む手は手袋にしまうけれども
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なんだっけ夢で作ったあの短歌街がどうたらあの子がなんたら
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踊り場で汗ぬぐいまた登りだす祖母の背中をそっと支えて
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虹渡る順を僕らは知らねども日付の古き卵から割る
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ためらわずロマンティックに浸りたい慰められる流れ星みて
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種が落ち綿毛はどこへゆくだろうこのやさしげな風にまぎれて
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珈琲のあぶくあぶくのそれぞれに我の顔あり我の顔みる
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刺すことのあれこれ知らず幼児おさなごは「さしみさしみ」とひくく歌えり
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寂しいとおまえは思うことあるか尻尾持っても丸まり動かず
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余り物で出来た料理が美味しくて幸せはそんな他愛無いこと
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愛してよ、きまって君は言うけれど 愛という名のそれは「依存」だ
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そんなにもいちゃもん付けて楽しいか? 規定に反してませんよね
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スカートの丈と釦と毛先しか 見ないあんたを盲目にしたい
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