飲みかけのJAMESONが僕を待っていてやけに色のない夢を見させる
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君にしか 治せぬ病なのだから 毒も薬も関係ないさ
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夕飯は鍋にしようと決めた日の 出先で気付くカチコチの肉
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〝どうせ君も わたしを置いていくんだろ?〞じゃがいもばかりが残ったカレー
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iphoneを 灯りに斜めに かざしたら 3カケ3の 指紋のあと
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数えても 両手片足で 足りました 須摩保スマートフォンの 連絡先は
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弁当のフタも閉めずにながながと理詰め論づめ同僚の愚痴
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長い間 鏡を良く見て いなかった 醜い人が そこに居ました
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虚構の生を掴めず疑問符 言葉が全部宇宙の零度
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戻れない 境界線は ここにある 跨ごうとして 跨げない僕
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鶏肉と半端野菜を鍋にくべ待つ「この恋が実りますよう煮」
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陽の名残なごり集めて重き鈴なりの蜜柑は照らす冬の庭先
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よる九時のきさらぎ駅のベンチから見上げた空はいつもと同じ
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明日から指名手配で逃げたいなレポート書くよりよっぽどマシだろ
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冷え切った息をまた吸う僕らにはあるべきものもありはしないのに
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赤い血が流れる事も無いはずと古傷歪み儚くしたる
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グルグルとかすりもせずに見もせずにやるせない夜のわたしの言葉
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寒いからここいいってためぐちできみの隣りをゲットする冬
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こんなにも降り積もる雪の中ならいちばんの嘘をつけるだろう
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母親からたまの荷物で送られる 蜜柑と林檎に 冬を感じる
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どうせなら憎むくらいに好きになりたかった そっと唇を噛む
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カーテンを 開けて初めて 知りました 外はこんなに 明るいのですね
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仮想世界 誰でもヒーローになれる時代 私はどこでも空気の存在
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死ぬ前に 初期化しておく パソコンは 君知らない 謎の入り口
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あの日から 許せないことも減ってきて。生きてるだけで すごいじゃないか。
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やわらかい 真綿のようなその声で 僕はたやすく 狂いそうです
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雪白々 叶うとも知らせは来ぬ
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雪けむり除雪機は噴く晴れの日にきえゆくまにまのいろの舞
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内臓の五枚の画像順々に見せられているクリスマス・イブ
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けい」の字をちゃんと書けるか確信をもちやらぬうちもう「もっとも」だ
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