真っ白な肌を覆う真っ白なシャツ 夏の訪れ教えないでよ
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雨の朝曇った頭で起き上がる あなたがいれば晴天なのにな
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しらじらと夏の粒子の広がりが目覚め早めて 今日を踏み出す
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メンタルが 豆腐じゃなくて 良かったと はじめておもった 金曜夜中
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お布団を地球に見立てて三毛猫は南極の地で月と眠るか
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「雨だから」理由になっていなくても構わなかった 握る冷えた手
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ただそこに居るだけで肯定される そういう猫にわたしはなりたい
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何ものかに為らねばならぬと言われても ぷいと横向き 己を生きる
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艶やかに生きることとか死ぬことを刻んだ石につまずく私
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あわいまで呼ばれし貝の記憶には 光のクジラ アルフォートの船
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梅雨空の横断歩道走り抜け前髪かばう右手が光る
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絵に描いた恋を歌いし真夜中に気分は宇多田ヒカルになりぬ
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《お疲れ様です!》って添えられた付箋、そのままにしてファイルに綴じた
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シルベスタ・スタローンの「スタスタ」の部分、めちゃくちゃに好き かわいいと思う
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寂しさを中空に筆で綴るならしらない街の風への手紙
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所得とか比べなくてもいいくらい好きに生き延び好きに死にたい
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お疲れさん 去りゆく君のテールランプ おんなじ家に帰れりゃいいのに
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ざばざばと雨水垂らす憎き空 部活がしたいの引退目前
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希死念慮 貴慮を除けば「死ねん」だけ残るのだなと酒を飲み干す
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後悔は頑張らなかった自分宛 転送できずにまた明日あすが来る
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新卒で入った会社、くるぶしの丈のパンツを履いていく梅雨
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教えない 私の秘密飲み込んで 知らず知らずに消化しちゃえば
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目覚めたら平行世界ご案内 もう充分よ、ここはどこなの
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がらくたの身体につぎはぎの心 夜を抱えて朝を待てない
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幼子の マスクはみ出る お鼻かな 低きその鼻 いとをかしけり
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溢れ出すビールの泡も落ち着けばこんなもんかと呷る おかわり
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冷房で冷えたつま先いたずらに脇腹つつく無邪気なあなたよ
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ぎしぎしとソファの沈む音させて上に乗っては前足ふみふみ
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靴はみな双子なんだと気づいたよ血の繋がりしぼくのコンバース
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たくさんさたくさん雪玉投げてほしい急いでわたしは動物なんだ
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