吾好きな お酒も旅も うたかたも 楽しく生きるタスクとするなり
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初恋は 叶わないから 尊いと いつかきみにも わかる日が来る
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孫を抱き「懐かしいな」と父が言う 知らない記憶 いつかの話
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不景気で 冷えた財布を説得し 春を拾って歩く買い物かご  
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あの日から 好きでもないのに 青色の 小物が増えて 貴方の色
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畝傍山 座して橿原 久遠の日 苔むす松と さえずりを聞く
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ほの甘く切ない和音この指で奏でたいとカノンの譜めくる
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あたたかい春、みたいなあなたには花かんむりをささげてあげたい
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マイボトルの白湯を飲み干す 冷めきった春はかすかに動き始める
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交差点を渡るような新学期 青信号に気づかないふり
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君はまだ青信号に気づかない 足下にひと群れの水仙
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唐突に駆け寄ってきた春さんの瞬間速度夏並みの汗
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ねこたちに よいこでいてねと囁いて せめて春色のスカート纏い
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春が来た いよいよあげねば 重い腰 娘のトイトレ 本腰いれて
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テーブルに頭ゴツンし泣く一歳 身長伸びたことに気がつく
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愛される疑似体験だけ、ください それで満足してみせるので。
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「さっきまで楽しかったのに」不機嫌な子どもみたいに青天霹靂
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晴れてれば全て良いのは楽観か 自己を持てない絶望なのか
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ベランダに 干せるものなら 干したいが 花粉と黄砂を 恐れて部屋干し
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頑張って得たいものなんてないけれど 焦る気持ちだけ追い立ててくる
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部屋干しの洗濯物がいつもより 早く乾いて嬉し春の日
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青空に 遠き山なみ 白く映え 雪柳咲き 白妙の衣
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お天道様おひさまを浴びて伸びする木の家の欠伸声あくびごえ聞き 知る春もあり
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ここでしか言わないけれど お花見残念 母の「ごめんな」がせつないから秘す
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姉様が お花見ご飯はとっといてあげると我に やさしいお気持ち
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浮き浮きとなれぬ気分は仕方ない 食べなきゃ動けぬ ドーナツ食べよ
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翔平のマルチ安打と横浜の開幕勝利でご機嫌乾杯
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霊柩の冬雷に冴ゆ喪家葬式の花だしおらばたづねびとあり
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ため息も 忘れて君と 駆けた夏 蝉の鳴く声 今も聴こえる
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白木蓮あはあはと滲みいづこより来しものぞ燕尾垂れをり
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