すれ違う一年前の僕に告ぐ「お前の尻に火がついてるぞ」
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駆け落ちてピンクの象を見に行こう まぶたの裏でずっと待ってる
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玄米を炊く湯気こもり換気扇 早くおいでと香る夕暮れ
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ブーブーの歯磨きコップは置いてゆけ獣道とて一人で走れ
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小走りの傘を持たない子どもらの足音聞こゆ立春の雨
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隙き時間山ほどもあるしたくないことども虚弱そうなの一人
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早朝のラジオの声はずるいほどあの人に似て闇は藍色
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チョコラスクリュックに背負い徒歩で行くしれっと渡して戻る計画
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「進んで」とカートに乗ったお子様が泣き叫ぶポイント三倍日
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熱量はあるのだけれど糖として数えられない悩ましい奴
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夕日を背負い蒲公英の発艦してくファイヤーボール次から次へ
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蝋石の白くつきりとどこいきの円をアスファルトに描きたり
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寝ころんで窓ごしの空見ていれば雲が流氷のように流れる
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手作りの玩具を乗せた段ボール列車走るよ空も飛べるよ
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シングルに戻ったんだしバレンタイン義理チョコだって言えばいいかな
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帰路リッター足りず補給すキクマサの銀のカップで女子力糖衣
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大根を一本はやく消費なくすにはおでん大根おろしに如かず
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ぬるむ屋根打つしずく💧真夜中に水道水の切れのなまく
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眠れぬと思っていたが浦島の龍宮にいた記憶無いだけ
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このうたを詠んだからにはかなしいのだろうなぼくは、かなしくなくちゃ
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割る前のたまごをふっと持つような手つきで触れて、それで壊して
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本気まじなのかじゃらけてるのか君たちはドッグファイトの猫さんに問う
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三秒後 あと三秒後に 飛び出して お終いにしてしまいたい夜
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真澄鏡向かひてこと問ふお妃にいつ見ても鏡よ鏡と張り付く母 朝夕抱かれ慰めましかば人形になれば良かったの私?
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ベットから出られない日のかさぶたを無理に剥いだら俺は朝焼け
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外見より中身が好き、を突き詰めていくと「語録でいい」に近づく
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あの人が 逝ってから見た アルバムで 形跡を探す 無力な自分
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人魚姫人ってね 人に成るため声失ひ成長するほど失うの その名は波間にとく人知れず (苗字や肩書ではなく)名前で呼んでくれる人達を   
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街中が深い青に染まるとき 僕らは海から生まれたと知る
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今年またバレンタインに流されて一日かけてチョコラスク焼く
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