欲望のままに生きたいわけでなし ただよっている差異の波まに
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秋惜しむ 湖面に落葉 舞い落ちる 湖畔の木々は 冬支度かな
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夕べには 久しき友と 語らいし 時間ときを忘れて 杯を重ねる
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旅先の  ススキの原野に 分け入りて いと足早に 秋は過ぎ行く
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目を閉じて音に世界を感じとる。犬の散歩に追いこす自転車
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ゲリラ雨は呪詛の響きや曼珠沙華 倒れし花の庭に秋風
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道すがら色付きを待つ街路樹を 毎週撮りて冬来るまでの日記とす
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空なんて高ければ高いほどかなしい 悔やむことには果てがないこと
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ウソみたいに顔がまるいこと 写真にしたらウソになるかも、 猫
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猛き朝 泡立つ胸に残るおり ただいまの声おそらく君も
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死を語る子の眼が我を抉る夜 蒼白き部屋ああどうしたら
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夕餉すませ 風の吹きたる家庭いへにはにたははに実る柿は哀しも
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追いかけてくれる優しさ期待してゆっくり歩く駅までの道
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幼きにかげおくりして並びたるかたへの影は今はあらぬか
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はろはろに流れてゆきし白雲の数あるごとにわれは憧れむ
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永遠とわの日にかじる果実はみずみずし 甘し酸っぱしめでたしかなし
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哀しびは氷雨の如く たたなづくわが柔膚にきはだをふかく刺したり
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愛だった愛だったはず君のいた駅の名前は思い出せない
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奪われてきたわたしから奪えない愛をもらったひとであること
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君の名をただひたすらに繰り返すヒグラシもついに黙る 秋だね
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剥製標本にして忘れたいことも留めてしまえる短歌
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ひとところに留まれぬのは辛いのか降って流れて気となる雨よ
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「恋がしたい」と泣きながら死ぬ兵隊と恋に恋して微睡む俺と
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愛してくれていた形跡霰にして投げ付け離れてくれない
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友だちと職場の人の中間の役目で頼む 愛したくない
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色を持てない時期にしか行かぬ町 風で寄り集まる金木犀
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ななどいちぶ、小さい頃はあんなにも求めた熱が毎夜のごとくだ
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既読しか つかないLINE こぼすのは グチぐち愚痴と 濁点ばかり
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受け取った重み抱え恨み言消していくエジソン自尊心
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コンクール、どこか不安を掻き立てる名の液体を水で薄める
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