果てぬ夢 追う若人の背を押して 汗も滴る 睦月の港
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きみが歌ならばあたしは恋になる あたしに二音割いてください
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「三年後、キスして。できないなら別れて」
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ここでの治療終わったと言わないでくれこの病院が好きなんだ
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乞うた訳では決してない高脂質牛乳二本くれる人いて
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逃げかけもしないうちから捕まって無理に糖質摂らされている
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昏睡し いつにもまして 夢も見ず 千代から朝陽 目覚めは良きかな
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しっぽでね森羅万象蹴散らして僕が世界だ触らせないぜ
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君ならで誰にか笑はむああこれが 心が壊れたというのだね おもしろきことも無きこともパブロフの犬条件反射で笑っていた日々
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思ひ解きかねつるものはええどうせ朴念仁だよ人の心 ごめんなさい我のみ知らず皆人知れり君の心をぐちゃぐちゃにした
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紫の 母のふりそで なびかせて フワッと香る 大人の私
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こんなにも広いラブホテルのトイレに二人籠って「もったいないね」
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アメリカンヨーヨー小気味良く鳴らせ家庭事情で和田が越す夏
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相応な人になれとは年齢に?見た目に?それは逃げの言葉だ
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行かないしもう会わないがそれじゃねと言って別れたそれぞれの顔
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とりあえず明日に何かを期待してすでに数年経った金曜
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まだ辞めるわけじゃないので花束は要らないのだが貰っちまった
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物憂へば斯かる氷雨に濡れそぼち傘開く手を暫しとどめむ
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白妙の 埃に似れど なほ違ふ 窓ゆ見えつる あしたのけかな
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春の陽に溶けて消えゆく雪みたいに忘れていきたいあの日の恋も
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君が吸う煙草の先っぽの鈍い赤 それは私の心臓の色
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氷上に投げた氷が飛び散って池のはしまで素速く走る
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降る雪の全てが鏡だったなら色んな角度で自撮りが撮れる
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「熱湯で三分待つ」の契約を受け入れ食べるカップ焼きそば
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いつごろ撤去されたのだつけ団地内でもくもくごみを焼く焼却炉
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雪解けの水溜まり映る月掬う のみほせそうな掌の月
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この先は誰も知らないままでいい バットエンドは闇から闇へ
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投げつけて積み重ねては踏んづけてお前のことを待っているのだ
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からからと笑い声して傍らを氷柱つららだらけのプリウスが行く
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指名手配犯の顔を見てほくそ笑む 明日になれば主役は消える
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