白い月のそばをゆっくり遠ざかる飛行機を見る人の悲しさ
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冬の日の午後の日向ひなたの果ての無さ観音堂の鐘鳴り渡る
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やっぱりだ、前回と同じ時間だ。乱暴運転気分悪い。
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小鳥きて赤い実たべた庭さびし まんりょう縮む氷雨の降る日
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笑えないお笑いにわらう夫と居て温いぬく部屋には寒い沈黙
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詠み終えて 冷たき指を お布団の中でぬくめる大寒の朝
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最愛の叔父三回忌出席す 共に歩いた畑荒れたり
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大寒は昨日と知りて指先の 冷たさ瞬間遠くなりたり
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「無効」との帰無仮説きむかせつ立て棄却せし薬の効果はP値が頼り
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いつからが老人なのか掃除機を かけつつ思う 古稀なる朝に
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脳トレに一日過ごす母だから 認知症には 私が先に
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ろうそくの灯火揺らぎ祈るとき 心は一度 被災地へ飛ぶ
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真実は末端に宿る現れる 我の言動 心が支配す
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日常が守られており当たり前に   蛇口ひねれば水の出ること
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牢獄の机に向かい歌詠みて 歌に救われし死刑囚かな
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孫の弾くピアノを耳に台所 今夜のメニューは甘めのカレー
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えんあった したしいひとびと ばらばらに やはんめざめて まだそこにいる /学校 仕事 地域
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さんざめく 雲の波間に月出でて 貝の光が 街に降り立ち
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雨の朝 「あたしがいるよ!」山茶花が道ゆく人に光を送る
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アメリカの 金融資本 ねらうのは よきんちょきんで 郵政民営 / 「年次改革要望書」
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小泉を うけてアベちゃん 日銀の ゼロ金利やら 年金で株買い
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株市場 日銀年金 かいささえ 貯蓄から投資 シンニーサ /いずれ米国株市場へ流出
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52ヘルツの君 私にはわかる だけど君には届かない それでも共に歩もう
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愛してるよ リップ ありがとう サービス あなたしか居ない
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平成が レトロだなんて そんなはず 言われてみれば そこそこむかし
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コーヒーの湯気の向こうにキミがいる「もう帰ろうか」タイムマシンで
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冬の朝 太陽照らし 雪が溶け 君との恋が 降り始める
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晴れの傘 幼い記憶 あとは、キミ 失くして初めて気が付いたもの
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希望の朝 満ちる太陽 落ちる月 切望の夜 陽は昇るだろうか
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カリンバを爪弾く指が何処からか瑠璃色の地球を奏で始める
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