ゆっくりと生暖かい風浴びて 桜餅食べ緑茶を啜る
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春の風巨大風車を避けて過ぎ自転車乗る子の背をそっと押し
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ジョイント音ごとに嵐が腹の中洗濯槽になったみたいに
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極太麺しあわせ脳汁あふれ出す食体験を《慈漏じろう》と呼ぼう
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さくら降るひかり降るなか泣きながら走る夢 そこに行かなくていいのに・
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よく食べる食パンの枚数すらも知らないくせに恋人だったね
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もしいつか引っ越すことがあったなら近くに欲しい図書館と海
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うちの子と全く同じ三輪車 公園向かう母子見送る
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来む秋をたのむの雁もたちわびて落とす涙や花の上の露
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ありがとう誠也の思いをたずさえて日本代表まずは一勝
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舞い上がるお菓子の袋目について箒を持って出てみれば春
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古本の間に挟むレシートは次のあるじへのボトルメール
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この時代生きてることの特権さ 大谷くんを生で観ること
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ボロボロで駄目かと思ったこの台車小回りが利く 見た目じゃないね
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彗星を一口齧ってまろやかに眠る鯨の腹に住みたい
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古本の海ざわめいて砦なき人魚は貝の図鑑に潜む
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風景の一部となってゆくきみの爪の形を思い出せない
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この義肢に熱き血汐はないけれど𝓵𝓸𝓿𝓮担当はきみのものだよ
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穏やかに 奇跡が重なる 秋の空 神様くれた ふたりの秘密
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待ち侘びて こころ重なる 摩天楼 忘れじ秋に 溢るる涙
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君と見た 煌めく天幕 幾星霜 夜空を超えて 快晴の朝
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嘘をつく解れないよう糸を吐く あなたの夢に包まれて寝る
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他人ひとの目を気にしすぎてた我が心 鏡にうつる貴方はだぁれ?
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惚れた 君の負けだよと 貴方の笑顔 言った気がして
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学校から出て来るたくましい女生徒らのなま足・あし・足 春が溢れる
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繁忙期嵐の一日くぐり抜け 心ほどける薔薇紅茶ローズティー
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こじ開けてごめんなさいがにじり出る深夜の風呂の浴槽のなか
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寝室の暗闇を刺す稲光春抱く大気遊ぶ轟
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なぜ君はハングリーなの?奇をてらうソングライターやんちゃした過去
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支配する痛みの元素飛散して泣きたくなるの「解体」の文字
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