離縁して生活保護の財政でクラス会には夢でも行けぬ
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クラス会?お前の友だち見た事ねえ。でしょうよ、嫁は自由が無いもん
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桜咲く峰に分かるる横雲の光いや増す曙の空
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平衡をキャンバスに塗りたくる、凹凸、戻る戻らないカラダ
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シニカルに粒子は踊り、やがてドス黒く沈殿 はやくティーパックをとり出しなさい、雨が降る
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今までのことを隠したくて広げた風呂敷の解れ糸を引っ張ってみる もうなにも
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春の朝 日の光浴び 木洩れ日に 見上げる空は 穏やかなりて
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八年後グラミーを獲るきみがこの場所から放つはじまりのうた
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春の昼 耳かたむけて 雨の音  しんと染みる こころにからだに
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このカレー 美味しいと君が言ったから  カレー記念日 無理やり制定
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味噌仕込み 秋の訪れ 待ち遠しい 桜満開 花より団子
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旧友と喋り倒して午前様 頭痛で目覚め我が歳痛感
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電話越し祖父と曾孫の話する言葉に生きて言葉に泣ひて
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具を見ずに おにぎりガチャで幸射止め 描く未来に響く足音  
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うっかりと 桜を詠んで しまったら その儚さに 打ちのめされる
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大樹なる楠の二本を額縁に 丹沢かすむ涅槃仏やさし
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やっとこさ眠り夢見るミステリー謎解き開始(嫌いじゃないが)
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春のもや 森の濃淡薄れいて 流るる時間ときさへ ゆるり過ぎ往く
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かりんとう 実質値上げで がらんどう 箱の隙間に ひびくぼやき
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窓開けて 冷たい空気 吸い込みて 新芽と共に 今日が始まる
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最近はソシャゲを起動する暇も、無いまま眠り電車に揺られて
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「兄さん!」と声掛けてくる後輩のようになりたかったあくる日
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新社会人の愚痴を聞く度にニヤケてしまう僕は悪い子
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判断まよふ胸部写真をAIが「読影難度2」と即断す ああ
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小さき手小さきぬくもり携えて 新入生は校門くぐる
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散歩して見つけた小道の金柑は 風と一緒に鈴の音させ
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眠れない夜の向こうに銀河あり 静かに歩こう銀の欠片を
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感情の季語は四季折々 貴方の名前が良いのです
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晴れ空に ひとひらでいいと 願ったが 鈍色にびいろの空 花びらが満つ
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ほてりつつ 君より先に 自販機の コーヒー牛乳 コトンと落ちる
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