ラジオの言ふ「清明の候です」の声がかつ、気を引き締めて職場へ向かふ
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心など殺せばいいと思ってた(存外こいつは活きが良かった)
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雲間から日が差してきて光る雪僕には少し眩しすぎるや
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春だから寝過ごしちゃうのは仕方ないだって昔の人も言ってる
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ウォーリーのいない絵本を生きているビルの建つ〳〵「街」に来てから
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お花見と 口実にする君を好き 言葉は実を結ばない
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「がんばれ」の言葉をぐっと飲み込んで 炎を宿す星に祈りを
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腕を切り 面会する都度 死にたがる 白亜の部屋で 君と暮らしたい
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ピンモンに ウオツカを入れた カクテルで 翼授かり 常世へ飛ぶの
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天気よく 暖かいから いつもより 散歩しすぎた 報告受ける
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潮流に 流されやすい 君だけど 赤いカラコン まるでストーナー
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水道も ガスも止められ クソメガネ 電気の次は 息の根かもね
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ズッ友と 誓った約束 違ったわ LINEのプリクラ 知らないチャラ男と
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新歓に 宗教サークル 不自然な 美人のサクラ さあ来る刺客
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海だった おまえを人に戻すのは、戦争映画みたいな光
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カクテルと 言われ飲まされ スピリタス 薄れる意識 剥がされ下着
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意味もなく 夜を明かしたわ ジョイフルで 貴方の部屋に 居たく無いから
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後ろから 抱いて下さい せめてもの 好意すらない 君との行為
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夜桜に イッキのコールが 飛び交って やがて吐瀉物 堆肥にならん
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私でも 姫になれるの オタサーで コスプレ衣装 馴染まぬ化粧
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いつの日か私を殺して死ぬであろうしもべとしての身体がある
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夢に見た キャンパスライフは 汚されて オレンジデイズ もう限界です
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あの日からただ内側に僕がいない まだ内側にあなたがいない
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大学に 入って最初の 週末は 眠剤の溶けた サワーに消えたの
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金曜の 夜だと言うのに 禁門に 君の住む国 スンニ派なのに
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白檀の 香リ焚き付け ミナレット 逢瀬は新月 夜更けのモスク
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指絡み 隣で笑う お前が嫌い 愛と憎悪は 同じと聞いたわ
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うまい棒 愛され続けて 四十年
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年ごとに 綴られ消える花の歌 それは桜が 散るに同じか
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夕方の 風はふわりと 雲を積み 川面かわも騒がせ 僕の背を押す
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