捨てられる前に捨てたい 放課後の公園で一人ブランコを漕ぐ
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愛という 漢字はこんなの だったっけ? 忘れかけてた 書くことないし
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そうだった 世界は美しかったんだ ペイルブルーの夕暮れの空
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厄払い 邪気を払えば今はもう何も残らぬ心地さえする
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これだねとこれしかないと思っても翌日見てはまた書き直し
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ほめられたい 役に立ちたい 好かれたい これを捨てたらラクになるかな
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あと少し持てる力を振り絞れスマホ充電残り3パー
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去年まで必要だとも思わずの腰のカイロが温かい冬
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願っても良いのだったら死ぬ時に 会いたいと思う誰かが欲しい
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滑り入る列車を告げて七点の鐘鳴り響く宵の停車場
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丁寧で細やかな暮らししたいけど 今日も深夜の牛丼美味しい
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鉄塔を見上げた闇の虎落笛もがりぶえ臆病者はよく吠えるらしい
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一生のお願いどうか神様に また今日の朝使ってしまう
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大体の ことはそんなに 悩んでも 変わらないから 楽しい方へ
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誕生日ラインすべきか元夫 嫌いで別れた訳じゃないけど
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上下とも服選ぶのが面倒でワンピース着たら評判がよい
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朝七時床に飛び散る日焼け止め全部がいやだみんなきらい
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どうしようもなく生きているひとたちを好きでいることやめられないの
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いちじくの香りと雪の日のにおい あなたの香水だけがある冬
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生きているなかでかわいい猫だけがわたしのいのちのほんとうだった
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橘がむかしの人の袖の香ならば青い薔薇そうびは誰の香がする
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「死について、」パステルカラーの雑誌にも表紙を飾り死は大人気
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乾く手にクリーム塗ったときのよに、しみるの、あなたがくれるぬくもり
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あの君が いようがいまいが 関係ない 大事なのは 慈しむこころ
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暗闇に非常口ひかる 黄緑が憎いあなたの横顔を焼く
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「泳ご」って君が言うから知っている 温水プールのストーブ香を
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友だちでいいの、だなんて言わないでおけばよかった 傘が転がる
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帯紐をほどく 躯をむすぶため 番の金魚に灯し火ゆれる
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惨めだわ わたしは一人じゃ立てなくて あなたはわたしを忘れて生きる
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珍しく教授に褒められテンションが上がっていたからノリでラーメン
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