仏壇前すすきなど秋の花まぜざしで生けて線香立てる
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高額ともはや躊躇まよっていられない新たなヘルパー配食弁当
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愛情のブレスレットローズクォーツに願い込め 投函せしポストをつと拝む
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あるもので間にあわせてく暮らしかな ないならないでなんとかなるよ
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夏の服洗えないまま放置していつのまにやら秋になってた
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一年に数回ほどの後悔をいまさらにして秋風の吹く
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細る目をさらに細めて見ゆる孫 後ろ姿は妻の背を抜き
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取り皿に覆いかぶさり幼な子がスパゲッティの赤を掻き込む
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美しく刈り取られゆく田に集う白鷺の群れ秋を告げをり
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手の甲を 枕にしている 毛むくじゃら しびれの痛みも 愛おしい哉
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天井に届くこの手この指は明日朝陽と出会う約束
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キッチンの 窓外吊るすミント束 思いがけずに運ぶ涼感
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汗かいてメイク直しで鏡見る 鼻の頭がカサカサだ 秋
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秋闌けて漢方學者薬種店硝子戸へ首晒せるあはれ
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草帷子桔梗に芒婦人花秋の地獄のすずしきを染め
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喀血す母仔合はさば一羽の鶴となりなむおりがみのゆび
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曇天が似合う僕には雨傘のような貴方が必要だった
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できそこない 短歌短歌短歌すらも 空へ放つ魂はここ
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花のたてるをたれそしらさむ浮草へ鳰くくりぬをしるとはなしに
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花の名も逸話も色々身にまといいつもの場所にやっと彼岸花
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財布の中 万札だけだ しかも栄一 自販機もだめ チェックメイトかよ
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朝までの長い時間の暗闇で何かが見えることもあること/題『夜(テーマ詠)』
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これ俺も読んでいるよと言いたくて初めて買った岩波文庫/題『波』
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行き先を決めずに飛んでる鳥たちに倣って買った片道切符/題『先』
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生栗に脱いで欲しくてに二日かけあらゆる手段で説得をする
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秋風に 恋の終わりを 告げられた 落ち葉のような 儚い記憶
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かあさんは元気にボケてそこにいて叱ればだまる褒めれば笑う
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夕焼けに 負けじと燃える 一面の 紅く艶めく 紅葉の闘魂
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たまにくる楽しい気分なんでだろこのスイッチを横に置きたい
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よろこびがわれをおとづれ このことをわかちあへるは母のみとぞ知る
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