春の日に旅立つ海の見える街きっと今日から桜は散らない
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春が来てプラットフォームになごり雪 落ちては溶ける淡い想いも
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マイアミで激戦最中さなか唐突にホームスチール ウクライナ入り
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知り合いに 知られたくないのになぜか 見知らぬ人には見てほしい 歌
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尸の形になって階段の一番上で憂鬱ごっこ
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みささぎは霞の奥にうづもれて花ぞ吉野のしるしなりける
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川岸の杭一本に白鷺が立ちゐて風に吹かれて居りぬ
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車を売った ぽっんと軽自動車が一台残る
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その指環今すぐ捨てて できないの?物にだって罪はあるでしょ
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「元気でね」告げたいことはそれじゃない振ったてのひら春にとけるよ
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春川に 花は流れど こいはなく  水面 みなもの道化 川波に消ゆ
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遮光性カーテンそして電気ケトル次は本棚生きていくんだ
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重ね合う 二人の視線に 交わるは 背後の仁王 師長の視線
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飛び込め!君の真ん中へ この手を伸ばすから強く抱きしめてくれ!
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少しだけ 目が合うそれは 恥じらいか それとも要らぬ遠慮をしたか
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指先に止まるちょうちょになりたいと四肢を畳んだいじらしい人
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全てのドアは「押」だと思って体当たりする癖をやめたい
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背の骨が軋むくらいが丁度よく 砕かれたとて、不滅の恋は
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辛抱は一人でしたら辛いだけ だから今夜も風呂は沸かさぬ
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夏が来て秋になったらまた夏だ君の季節に春は来なくて
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エーエフとエーイーロック出来るじゃんけれどもぐずるスマホのキャメラ
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桜島 卒業式の晴れに立つ 門出を祝うか明日への狼煙
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たい焼きを腹から食べる人だって最後に知れてよかった  さよなら
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ガラスの靴を何度も落としてみたけれどいつまで経っても王子は来ない
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隕石がおちて滅びゆく恐竜たち他人事ひとごとだとは思えなかった
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恐竜たち戦いの末たおれゆくあの眼を知ってる 愛犬の、あの
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病院の待合室で意味もなくスマホの画面を見てるふりする
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人見知りでさむがりやさんの「しろくま」に似ているらしいおれは人間
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雪の畑南に歩く梅の花徒歩十分に春は来ていた
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九回裏ツーアウト満塁逆転ホームランなしで生きてく
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