ヤマザクラもソメイヨシノも好きだけどあなたのいない春はさびしい
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肌けして弱い方ではないけれど たまにはあかぎれ出来る冬もあり
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卒業できればいいんです 勉強なんてしたくない
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「よぐ来た」としわしわ顔で我をでし親戚一人また旅立ちぬ
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寄りどころ あるって素敵 能登の人 元気をもらう ばかりでごめん
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歌の書や屏風、蒔絵の硯箱 400年の光悦の旅
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「気をつけて」いつものセリフ 字幕には〈絶対死ぬな〉のルビを振って
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足取りに摩擦はなくて道行きは無限遠まで等速のまま
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初オペの 恐怖にかられ 繰り返し推敲した短歌うた おさまりが良い
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物上がり 実質給付 年金ダウン ちんあげゆうなら 年金もあげて 
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人生の 初オペ恐れ 心ふさぐ うたかた開いて 気持ち静める
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早春はるくれば アクのあるもの 口にして 毒を流した 昔の教え
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こんなにも街は栄えてみえるのに ネット回線まだまだ遅く
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園児らは百万馬力でこの地球守っていると夢を語りき
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朝五時の 暗闇の中 看護師は 静かにそっと 血液 を採りていく
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しかけられ さぁさどうぞと すすめられ まなこあわせて そらさぬおまえ
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大人さえ 会釈の習慣ならい 忘れたが 幼き会釈に 心洗わる
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はちみつを纏った梅に化かされる 塩分量は変わりないのに
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さみしさを理由にしないと抱き合えないニンゲンって不自由ですね
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新しい手帳にあなたのイニシャルをたくさん並べたいと買うペン
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IHが忘れてないかと問いかける 忘れてないよ コトコトじっくり
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気がつけば歩みは早く 飲み物はさらに冷たくポテトはぬるく
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初恋と 出会いの春は 好きだけど 別れの春が僕は嫌いだ
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戦場でその呼びかけに答えればきっとわたしは死ぬが、それでも
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生協のチョコの注文五人分 高級チョコは一つだけです
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母作る松前漬けの人参の赤さに寄り添う烏賊の細切り
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節分の豆まきパラリ どの部屋も鬼が逃げ出す暗闇の中
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この背中もし羽根生えてくれたなら 鯨の潮を避けて飛びたい
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網代木あじろぎ氷魚ひをのよるよる風ふけて霧にぞ咽ぶ宇治の川浪
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雨が降る 一月終わりに 雨が降る 二十年前には あり得なかった
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