ありがとうお世話になったポンコツ銀輪粗大ごみの早朝あさに逝く
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夏の夜の 別れ台詞は 長回し 耳を塞いでも 残るかたまり
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マーラーの響きが満たす宇宙(おおぞら)の星をつなげて明日を想う
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乾いた目 朝の楽しみ ジャムトースト 頬張りながら 流れるしずく
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胸に抱く小さな箱のあなたとの約束だから今日も笑うの
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きしだクンあの人あべちゃん残した後始末まわりの方々まるで人ごと
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ペディキュアにヒールサンダルの夏仕様 今は色無く三センチ一択
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人生の最後の価値は早朝の遅延の程度で語られる
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人々の終わりに思う崇拝は実際朝のごみ捨てレベル
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カフェインとマルチビタミンカプセルを突っ込み動くただの容れ物
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人間の肌のリアルな生っぽさ記憶のそれとずれててこわい
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この夜も明日に備えて眠るなら死後の世界に備えて終わる
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サーティワン踊る光に幼子は目の煌めきてとろ〜りとろける
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朝ドラも大河も見ない私でも『虎に翼』はおもしろいのよ
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鈴鹿川瀬音高くぞなりぬなるふる五月雨に水嵩みかさ増さりて
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朝の一杯、coffee、紅茶、緑茶でもよし、今日はどれかな?
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トトロ来るトンネルのごと緑道に はらり落ちくる病葉わくらば赤し
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ホテルから眺める街はゴーストタウン 夜行性の仲間を探す
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強かに酔って詠った我が歌は酔い覚めに見る吐瀉物のごと
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始発で座禅、空梅雨の猛暑日は、淡々と勤めをこなすことか合掌
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休みの日いつも行ってた地下街の 輸入雑貨の店に立ち寄る
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予約増え子宮頸がん検診に月木金と出勤の夏
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花も夜眠るのだろうか 紫陽花の 瑠璃色に降る 墨色の夜
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受付で診察券を探してる 見覚えのある初老の男
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なんとなくふらり入ったコンビニに 見覚えのある男がひとり
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いつきても店は開いてて席もある そんな大人に俺はなりたい
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言の葉を寝起き頭で紡ぎつつ濃いコーヒーをちびちびすする
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ぎの価値観をさも大層なものであるかのように説く僕
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音楽の夏はあんなに好きなのに俗世の夏はなんというかまあ
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「光あれ」その一言で俺達は数え切れないほどの苦悩を
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