エージングやっと済んだとほつれ穴指引っ掛けて今日も着るシャツ
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ひとつかみもやし味噌汁作る為以外と長いひげを取りつつ
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若竹のお浸しを是非春だからおかかたっぷり生姜かわさびを
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愛してる人を嫌いになりたくない過去の事実に今日も見ぬふり
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延々とエラーしてる改札機「霊がひっかかってる」とあの子
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机では置かれたままの物たちがただひっそりと到来を待ち
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春の雨。僕の頭はちょうど覚め。遅るることを、悟って二度寝。
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雨あられ。窓に吸いつく水滴を、見上げる気持ちは正岡子規。
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天と地のさかひに咲ける桜花さくらばな霞みて自我も曖昧となり
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巣穴から這い出るまでの暫くは誰も来ぬよう鍵掛けとくね
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犯人は「桜恐怖症の恋人のために放火した」と自供
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ひぐらしの延命治療を発見し秋冬春が食い尽くされた
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石段のコンクリートの隙間から春がお目見え黄色や白や
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教え子が通いし校舎・桜見る そろそろ剣道再開するか
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早すぎて引取センター開いてない 時間潰しのコンビニ花見
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車検中 運転席が窮屈だ昔この車種乗っていたのに
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タイミング正解などない知ってるよ次は他人Aとして会いたい
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こたつの暖かさを共有したいみかんかわりに食べてあげるね
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桜咲く比良の山颪やまおろし吹きにけり釣りする海人の袖香るまで
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群鳥むらどりの間近き声に目覚むれば日はなほ高し花の下陰
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しんしんと痛むのは胸 好きだった筈なのに君を遠ざけて、春
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こんなにも近くに居るのに遠過ぎる気持ち抱えて描く渦巻き
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君だけが僕に甘くて優しくてだから誰とも似ていなかった
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アンタなんか、こうよ。 とチーズを噛み切った 残った八重歯の痕までセクシー
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波の間を漂ふクラゲ羨しかり覚めざる夢を見つつ浮きゐて
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ドラキュラでない私は朝昼晩イヌを引き連れ太陽にあたる
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「進むな」と願えば願うほど早く進む時間の中で入浴
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青ジャージ髪を揺らして駆けて行くこのまま寄れば先でぶつかる
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あゝ此処に 砂州があつたと 夜桜の河のほとりに 心を託し
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知らん部屋、知らんスーパー、知らん味噌、4日もすれば慣れると思う
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