身を萎む老年なおも美しき 牙ひそめつつ言の葉磨く
18
すれ違ふ夕暮れ時のランドセル母待つ子らの背中にかさね
14
積み過ぎてつぶれた箱はもどらない急場をしのぐ上下入れ替え
7
折り紙は小さく淡ひ虹色で千羽鶴折る日曜朝に
13
仕事行く父を案じる女子おみなごに寄り添う吾子の頭をなでる
12
慣れぬ家事育児送迎かの父は妻のスマホを持ちて現場へ
10
辛いことあつたら母に云つた子の「つらい」は宙に漂つてをり
9
十字架のごとく我らにのしかかる人づてに聞く今の症状
7
午前二時倒れた妻のママ友は妻とランチでチョコミント喰ひ
4
平凡な五人家族のしあわせを瓦解させうる血栓一つ
11
母ゐなく子は眠れたか妻の友脳梗塞の土砂ぶりの朝
11
彼のこと引きずる君は見たくない 俺じゃだめかと言えたらいいのに
7
長袖にぬくき茶を持ち雨の中今夜の豆腐あんかけにしよう
23
嬉々として 雨どいの水 傘に受け 道のり遠し 雨降りの朝
19
どうやって電子レンジと冷蔵庫無くて暮らしていたかと思う
17
理由など何もないただ今日は気が向かないそれだけと猫が言う
26
石鹸を小さな手ごと泡立てる 粘土クレヨン泥にスライム
8
雨予報はずれ降るに鳴く鳥と皐月終はりの朝風惜しむ
26
我が家の玄関に巣を作り初むツバメのありて思案にくるる
12
鶯の声を聞く朝曇天の空に轟音ヘリコプターの
8
筋通す 自己満足のお節介 嫌われようが、子らのためなら
15
正義ヒーローに成るつもりなどもうとうない 俺のせいぎを貫くだけよ
10
やさしくて人間嫌いのかみさまは人魚に足を与えてうばう
9
大好きな あの町に行く その度に また好きになる 心は不思議
28
梅雨前の天ひさかたの笑み見せて 浮かれし風の薫り過ぎゆく
17
はかなくも枯れゆく躑躅ツツジ 労いの眼差し送る 「また来年」と
28
母への愛 溢れてベッドの端なれば 気をつけ姿勢に 腕や足乗せ
5
五月末まさかの氷雨におどろいて ぼらがぴょんと跳ぶなり
19
「勝手に来てお茶飲んでるのぬらりひょん?」「いいえ隣のボケ爺さんです」
12
女房に「私は女中?」と問われたら 「私は下男?」と問い返してやろう
14