君が旅立つ方角に日が沈む 燃える夕焼け餞のごと
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スカートをめくりしときに すきまから 見えし花弁は 赤く染まりて
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紅色の 林檎はスロー モーションの ごとく腹の 底へ沈みたる
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出来合いの泥土でつくるデザインはでたらめだけが出尽くしている
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感情を振りきっていけ振り向くな足を止めたらしかばねとなる
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仕方ない「仕方ないんだ」ふざけるな胸の内側恨み抜く神
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留守電に入ってたのは信号のパッポー それと風の音だけ・
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湧水の振りした水道水を詰め早緑匂う丘へと向かう
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町内の懇親会を予約する 三年ぶりの店長の声
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久々に 夢に出てきてくれたなら 朝まで幻きみを 抱きしめてたい
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子には言う「立派な人になりなさい」そんな人には誰もなれない
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子にぞ説く人のあるべき立ち姿 誰かはなるべきと内にぞ思ふ
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大学を辞めた予備校にもいかず 仕切り直しの受験に挑む
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引っ越した下宿近くで見つけたり 馴染みになりたい小さな古書屋
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流星じゃなかったあれは毎秒5mmで孤独に進む点P・
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春先は見慣れぬ顔によく出会う 朝食前の池の周りで
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街をゆく 人は誰もが 人生に 目的持つと 見える日があり
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あたたかい飲み物いれてひとやすみ 生き抜くための立派な仕事
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文房具 みち極むれば無限大 集めるもよし 使い込むもよし
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古きよき文化の薫る神戸市は 自と他の良さをやさしく包む
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雨宿り大きなシャツは憧れで 通した袖をつまんで見せた
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人生の大きな選択決めるたび 自分の軸のもろさに気づく
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コーヒーの実って意外と赤いのね 見かけでものを決めてはならぬ
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風見鶏 うろこの館 異人館 雨の神戸に映える洋館
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好きな子と行くのにいい店知らぬかとそれをわたしに問うのはやめて
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一宮・二宮ではなく三宮さんのみや 3番目でもいいではないか
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友人の「元気?」の便りに笑いつつ手帳をめくり予定を入れる
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夜色のビー玉つまみ灯にかざす 心映して揺れる天河
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彼と飲むお酒はいつも格別で頬赤らめて天にも昇る
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プチ自慢 母は体育 オール5で アヒルの行列 息子は父似ちちに
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