泣きそうなコーヒーカップにうつる顔一口すすり涙ごとのむ
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ずっと熱にうなされている 風邪じゃないこれはきっと恋煩い
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さりげなく自転車つきつつ車道側歩くあなたはわたしのナイト
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我をまだ打ち伏せようとする神にそれでもすがり 祈り続ける
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どの論理から来たバグか食えもしない花の周りに群れているのは
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草むしりしながら「草菅人命」の喩えを再発明した土曜
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「土に根ざす」とか人間が言っている。言語はかくも比喩を愛する。
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「家族にはなれない。せめて蘚苔のレベルに達していない限りは。」
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「もし仮にウミウシ式の体なら繁殖する気になれただろうか」
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芍薬は三千種もある君の立ち姿に似たのきっと見つける
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文字にして過ぎ行く日々を残さねばいつかきっと忘れちゃうから
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もうこんな早い時間に夜が明けるせめても暗い時間に寝たい
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まだしなぬ バァバはうちの いきぼとけ いきてるうちに したいことしとく
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砂煙。片道切符。通り雨。命短き愛した君へ、
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あいつより上手に散ってみせるから次はおまえと指さしてくれ
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干支ひとつよりも大きな後悔をこちらの生で思い知らせろ
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恋人の小さなしっぽに触れるたび 今のままでいいのかとなる
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片思い想って悩み泣いていた そんな幼い自分がいとしい
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「相当の大地主おおじぬしばい」父の言う“大地主”の名は【月極さん】らし
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詰め込んで煮込み揉み込み押し込んで運んでもらってカラッと揚げて
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人類の最終兵器「慣れること」鈍感力はワクチンに勝ち
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鳥たちが薔薇を啄む楽園にわたしときみは必要ないね
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日常のなんてことないひとコマをドラマに変える三十一文字
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輪郭も眉も額の黒子ほくろまで 他人の空似 心乱れて
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夜詠んだ歌と昼詠む歌の差に 我の知らざる内面をみる
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「明日から早起きするぞ」「明日から早起きするぞ」春眠のせい
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帰宅時に急に降り出す大雨は 誰にも望まれてないはず
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枯れゆく躑躅を眺む我が心情 高空の鳥には分かるまい
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たらればを サッと湯通し塩を振り 口に運べば これじゃなかった
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善悪のぜんぶを溶かす前夜祭贅を尽くした前奏曲を
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