キッチンに まな板の音 火着くガス 布団に届く 休日の朝
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春告に姉は葉わさび下げて来るガツンと辛い春の一撃 
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OSの バージョンあげれば 不具合の おおくあったぞ うるさい催促
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振り返り吾を確かめて先をゆく従い続く猫の細道
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夕鶴や天女の夫は妻去りし後の年月如何に過ごせり
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寝なさいと何度諭せど横向いて聞く耳持たぬ眠たい私
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電話でも 君の表情 分かるんだ 今日の瞼は 何故腫れてるの
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新卒の無垢がぼろぼろ剥がれただ無能な若者となる近日
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ひらひらと 舞う磯鵯ひよどりに 連れられて この街の空 飛んでみようか
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「ところでさぁ、あれなんだっけ」と さりげなく 喧嘩の後の 一声いっせいを待つ
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箱を描く 前に描かれたたくさんの ひつじを 私はなでてあげたい
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映像は幾つも見たが原作を読んだことない犬神家譚
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空きっ腹 呑む酒身体 ああしんど それはそうとて これが美味しい
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君からのLINEの通知が嬉しくて アイツといるの嫉妬しちゃって
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かなしみが おそってくるような 海がある 砂浜にはだれもいなくて
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わたしたち のあいだには言葉など 存在しない あるのは沈黙 
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藤の花 西東にしひがしから 集まって 我も我もと 風にたなびく
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藤棚の香りに包まれ立ち尽くす人生いちの香りと確信
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気がつくとレターセットを5000円財布のひもがゆるむ旅先
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荷物になるのでフキ・ワラビ・タラ芽天ぷらお腹に入れて持ち帰りますね
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「また来るね!」改札前できつくハグ 生きる期限を少し延ばそう
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神様はプラマイゼロにしてくれる? 吾はマイナス多い気がする
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くちづけの数だけ星が落ちてくる 最後は太陽落としてみせる
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海見える 高台のカフェ ランチする 景色も美味し 満たされ 満腹
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逆光で隠したきみの表情は演繹法で決定される
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馬鹿にする馬鹿にされるつまらない戯言返しも宵々までよく生きましたか自問自答す
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歌詞だとか行方不明で口ずさむ歓喜は刹那の宇宙語として
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哀しみは忘れたみたい海のなかさざ波のおくで色をなくして
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人気のダイヤモンドプリンセスってあのダイヤモンドプリンセスか
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わんわんわんわわ犬だからお前の気持ちがわかるわんわんわわん
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