手のしわを数えてみせて老いたねとほほえむ母の爪先の罅
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中坊が書いた歌詞のラブソングに泣いてる親父を見て泣く僕
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とじてゆくひとつのみちをあきらめてふたたび空に前途を託す
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トトトトとリズム覚えしキミ専用の暗証番号打つ指
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タグはまだ外せてないよキミが昨日遊びの約束断ったから
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あの日から春が苦手になったまま 十年の時 長い、短い?
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ぐるぐると痛むお腹を温めて穴あけれない不幸を知った
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毎日を和ませてくれた十五年 金魚死にゆく 淋しいリビング
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生きのびた先の見慣れた青空にいつでも朝がやってくること
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ストーブを付けては消すを繰り返し卯月尽日サクラ満開
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躑躅咲くあの寺この路地数あれど我は小庭の一木愛す
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愛してよ。52hzで歌ってる。誰か聞いてよ。助けに来てよ。
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お腹鳴り 生きてるな〜と 実感す 食べたいものを 迷える幸せ
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母の歌 トクイなリズムが 小憎らしい 「サインコサイン タ〜ンジェント♪」
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明日値上げ オリーブオイルをギリギリで 買い物メモに入れたよグッジョブ
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苦くても貴方の想いを飲み込んだ あの日の約束忘れないから
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行き請うは 花の夜道の 濃い宴 明日の朝には ぼけたクマの目
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カーネーション 当日よりも格安と  笑顔で手渡す 無職の息子
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手のひらを重ね合わせて眠るとき私の心穏やかになる
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音楽はなにが好きなのときかれたときの最適解だけわからずにいる
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ふたつぶのラピスラズリのピアスを求めこれを冬の反物とします
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みてくれを整えたとてわたしはわたしのまんま生きてそうして死ぬの
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スクロール、タップで傷む指先に休暇を ご了承くださいね
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その日まで、いるわけないと思ってた。ピンクのYシャツ似合うおとこが。
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曲がり角 スンと澄ましたジャスミンがこっそり香りだけのお見送り
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麺つゆと 麦茶間違え 時遅し 豪快に飲み 豪快に吐く
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ギャンブルなんて無意味だと思うけど 無意味といえばすべて無意味だ
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Picapicaと輝く夜の(幾望・既望)には朝に負けない眩しさがある
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暑すぎず寒すぎもせずちょうどいい 今週末にもこんな日が来い
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客として文句も言えぬこの頃は三波春夫よ神様どっち
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