こらり悲愴とやいば滲ませて一人で祭り見に行く少女
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「テグスみたい」指に巻きし若白髪笑う友の隈の青さよ
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夏帰省母の待つ家近づきて凌霄花ノウゼンカズラ笑いて咲きぬ
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力士らを怪我から守る方策は 土俵の丈を低くせよと妻
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ひぐらしのシャワー降りぬる鬱蒼は三半規管をかき乱しゆく
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唯一人ただひとり大統領の杯を受く 実質横綱立て朝乃山
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絞首台も地獄も一緒だっから怖いものなくて楽しかったな
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エアマックスココから覗く指先に 銀をひと刷毛 あがりかまちで
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「死ななくて良かった」なんてそんなのは 耐えられた奴のただの戯れ言
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自室にて籠城戦を展開す 助けは来ないと知っているけど
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ひぐまをも倒すやしれぬ肩透かし 胸すく快児見よ翠富士
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もういいかい まーだだよってば もうちょっと オラ!!はよしろ まじダルやろ
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刈り取った枝豆よりもうまいのか?冷凍枝豆ちょっと切ない
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いにしえの名大関の名を借りて 若武者登れ笑まず驕らず
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怪我負いて奈落に堕ちたあの男 還ってきたぞ行け若隆景
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暑き場所 肉ぶち当たる汗が飛ぶ 力士の咆哮すく手弱女たをやめ
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痛み耐え地位守らんと粘る意地 註文相撲を恥ずるな老兵
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一人でにグラス片手にとろとろと 溶けゆくものは君か心か
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炎天下 遠回りして 影を踏む 大人もみんな 行ったり来たり
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小兵らよ引け回り込め意表突け 弁慶倒す牛若の快
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ミニサイズパンケーキ 山と積みまして いちごサワーをプシュッとあける>休養
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枝豆や三寸飛んで口に入る 子規のこの句に麦酒や美味し
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竣工が切り取る 四角い青空の手触りを探す 一、二ヶ月
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傘の下で背伸びをした 果てのない恋は化石にもならない
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だれもみな はなしをきくひと 求めてる
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思い出はあればあるほどいいのかな、あの日の君が、埋もれないかな
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「老化かな」「いや老化でしょ」 飲み会は記憶払底宿酔いふつかよい付き
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仕方なくいつも目眩で生きている書類の山とか空ジョッキとか
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豆の香の木綿豆腐は堅くあれ もさり武骨な益荒男ますらをの味
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寛げる「実家の様な安心感」当たり前だよここは実家だ
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