盲人を 導く者も いないのに 何処へ行くのか 人類家族
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ひとつずつ心の氷溶けゆけば 新緑芽吹き花も咲くかな
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神を捨て 目的もなく 欲のまま どこへ行くのか 人類家族
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他人からの 称賛求め 栄光を 我が物とする 愚かな心
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人間を 賢き者と 崇めれば 地面に巣食う 蟻と変わらず
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賢きは 身の程を知り ヘリ下り 天の恵みに 感謝を捧ぐ
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賢きは 己の欲に 手綱掛け 平和のうちに 暮らすことなり
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欲のまま 行動すれば 悪となり 愚かな者と 嘲笑される
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欲望を 放っておけば 主となり 滅びに至る 友達となる
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三島江はなほ風冴えて真菰草まこもぐさ角ぐむ上に泡雪ぞふる
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欲ありて 満たされてこそ 喜べど 果たされざれば 悲しみ生ず
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定まりし 姿なく世に 候へば 欲が総じて 姿になりぬ
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「エレジーがある」といわれてしばらくはやや不審げに眺めた卵
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誰がもとへ匂ひるらむ梅の花荒れにし宿に春を忘れず
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物語世界のように切り株に腰を下ろして巡る公園
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写真にも うつらぬほどの ささめ雪 ため息のよに つもりゆく様
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七日ぶり珈琲の薫り立ち上り 苦味身体の隅々へ流る
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寂しさが懐かしくもあり 横になり苦しみ病んだベッドに座る
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歌を詠む気にもなれずにいた日々よ 何か奪わる私の異常
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いつの間に春は来たのと問いかける 地中の土筆の声を探して (コロナ七日目)
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自宅にて病んだ日々にはお共あり スマホとポカリと遠い思い出
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ありがとう言われて少し奮い立つ 落ちてるときこそ親切発動
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淡雪を 乗せて消えゆく交差点 赤いシグナル季節を置いて  
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切り分けたケーキのように少し歪 秒針の数だけずれていく日々
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感情が痛くなくなるおまじない ちちんぷいぷい効果は出ない
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東京で出会った人たちの顔を忘れてゆく春休み、地元で。
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君の手を握りたくても握れない。こんなに近くにあるのに、遠い。
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早朝にカーテン開けるのすこしこわい 妖怪がいる気がしてならない
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深刻なエラーが発生し続けるノンフィクションの人生ゲーム
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朝起きて 春の日差しに 喜べど 花粉まじりの 風は冷たい
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