廊下にて楽しげに群るる背中らに バックモニター付けてやりたい
8
疎開先 文字を綴れぬ 幼きの はがきに記す 小さなばってん 「字のないはがき」
16
蝉時雨 徒然懐(おも)う 水飛沫 我が子が知るは 納戸のひや風
5
子供らの視線と埃が交差する暗幕のなかあの子のとなり
6
工事中 近道ふさぐ看板に見慣れぬ路地でみたらし三本
8
「隠れ身の術!」と大きな傘に隠れた息子。梅雨の始まりと幸せ。
7
お別れのカレーを作る台所涙流して玉ねぎ刻む
14
初夏来たり 様変はりをし 南天は 白き小(ち)さき蕾(つぼみ)を着けをり
26
瓶ジャムの 底をさらった ゴムべらは 驕らずもとの 水切りかごへ
17
庭に咲く 花名を聞かれ 我家前 お散歩コースに なっていると知り
14
歳月は魔法となりて皺を消しふたりは今や推しつ推されつ
10
しょっきだなの うえから ねこがみおろして ようじはなあに ながれるおみず
18
日常をこなしただけで日が暮れて保留案件今日も手つかず
25
施しはするも忘れて構いなし受けた施し忘れるなかれ
12
飛べないと飛ばないの差を知った日にひろがる空の飛びたい青さ
4
緑葉は乙女の黒髪の如く艶々として麗しくあり
20
桜散る狭間逆風構わず飛ぶ雀 それだけ
2
感情の執着悲喜は問わずしてやめて人になりたい不思議
2
わけはある叫び出したくなる訳は きみとぼくとをつなぐ泡沫
7
乗っかって乗っかってきて危機煽り我が町からはゴミ袋消え
8
日々重さ増してく神輿担がされ値上げの値上げの値上げの値上げ
10
重くなる神輿をみなで担ぐ日々転嫁できないとこから潰れ
12
「始めの一歩」踏み出す前に できぬ理由(わけ)並べて躊躇 足踏みのまま
15
猫の砂くっついてくる撒いてゆくなぜにカリカリいたるところに?
14
五月晴れ 時間愛おし 目、耳、心 満開にして 今日を過ごさん
7
老害を自覚しているエピソードまだ言わないぞ古希の青春
46
石楠花(シャクナゲ)の 気前良きかな花姿 勇み立たせり夏への覚悟
27
静かなる 田舎の町の 月なし夜 風物詩ならぬ  睡眠妨害
7
あいつただ走ってるだけに見えるけどなにげに光合成してるらしい
12
餌くれた人越してったマンションの廊下にそっとたたずむ野良猫
23