コロナあけ  社内で飲み会やると言う  義理での参加はもうやめますわ
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補聴器の 聞こえることの 嬉しさよ つい会話へと 入る我がいる
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運命の人なんていません  それはただ  妄想なのです  思い込みです
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跳び回るねこに蹴飛ばされザックリと 消毒は手間だが元気の証
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スコーンとアップルパイの両方に生クリームが付く幸せよ
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八朔のだらりの帯もゆらゆらと 都大路にかげろう揺れる
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乱れ飛び 火に向かい行く 酔いどれの 死んだも気付かぬ夏の虫らは
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はなしたり かたりあったり したたかに 生きていこうね ぼくらのここで
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肌に落ちる  水の温度がほんの少し  冷たく感じる 秋のはじまり
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夏の嵐 かぜにまぎれて去るひとかげを追っていまだ正体もなく
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捨てされば 新しきもの 掴めると 信じてひたすら部屋の掃除
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もう十分泣いたよきっと明日から虹が出るんだそんな気がする
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本当に好きだったからこそ振り返らなかった私とあなた
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今はもう枯れた花でも花束だから優しくなれるの、少しだけ
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僕のこと 結局好きなの嫌いなの? 君の心は解読できない
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球場に快音響く甲子園応援席の赤が燃え立つ
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眠りから覚める直前の隙間に潜む消えたはずの恋心
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猫が伸び 洗濯物が風に揺れ かけがえのない何もない午後
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ぼくだけが知っている アンタレスから生まれたきみの骨があかいと
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19時に仕事を終えて外に出る 「夏終わってる!」思わず叫ぶ
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目のまへに立てどひらかぬ自動ドアは只今かほを赤くしをらむ
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久々に巡ってみれば年寄りの影が薄いぞ三年すりゃね
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そよ風が向日葵畑をかけてゆく私に向かって夏が手を振る
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まだ暑い8月下旬の公園で戸惑いながら秋の虫鳴く
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ひさびさにきゅうりとパプリカピクルスに 一日漬けてる時間さえなかった
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葉でも穂もこれにゃ目がない僕たちはまた持ってきてエノコロの草
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ちり〲に離るる銀河うすあかく彼と我とのへだたりと見ゆ
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八月の生ぬるい風エアコンのないこの部屋をまるごとさらう
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ぴかぴかのとちの実見つけ伸びる手を「大人だから」と引っ込めて居る
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わッお湯だ。冷房の域出たならばこりゃあ風呂だぞ茹だっちまうぜ!
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