幾たびもすれ違い合い行き違いようやくここで目の前に立つ
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現役を引退すると次々と同級生減る寂しさよ
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元カレと飲んでいた君引き寄せて上書き保存の口づけをせり
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目標は二桁勝つと掲げるも怪我で離脱かこの長月に
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暗い部屋エアコンの音響いてる 29℃が眠りへいざな
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勝ち馬に乗りたいだけの県議らの もろ首はねよ兵庫県知事
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右肩に三日月ひとつ引っ掛けて夜の帳をおろすお仕事
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野球手に四桁はずれた額払う もろびとたちの異様な倫理
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今までの自分を必死におさえつつ 我慢比べだ貴方と私
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「1日に3本ホームランすごいすごい」 「ふ~んそうなんだ」と無関心層もあり
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枠のなか風も無いのに枝揺れる遊ぶ子にだぶる美声の主
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利き手の怠さに潰え今日を閉じる 残念無念まだ終わらん
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期待背負う翔平君のホームラン快挙に拍手記憶にすり込む
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通勤の電車車内半袖と長袖が混じり季節わからず
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大荒れのあの子の海を見つけても 小瓶に文字を詰めて流すしかない
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辛くても息を抑えて手づかみでホールケーキを呑んで眠るの
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七百歌記念の歌を詠みたくて思案すれども挙げるを忘れ
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実在しないものばかり追いかけて 僕らはきっと旅人だった
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孤独なもの なにいろになる アルファルドのだいだい橙になれ 先に連なれ
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罪と罰裂けては消えて行き詰まりあなたを想い今に見ていろ
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悩んでもなんとかなるなるなるなる ひと息ついて丸くなる
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マニキュアをそっと塗ったらはみ出して 私の人生いつだってこう
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誕生日バースデー前夜しづかに更けゆきて あした七十四となる母
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今日もまた季節外れの暑を残し 素知らぬ顔でストンと陽は落つ /そこだけ秋
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背中側ふみふみされて ぬくもりに ねこのいのちの尊き日々よ
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えらんだよ 二人で行った 信濃路の コスモス街道 遺影の背景
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ネイル塗るため息ついて手をかざすあの人色に染まりゆく青/性転換したった!(笑)
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あなた色水色空色雨ブルー私を映す手鏡の色
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堅き樹へ釘を突き刺す丑三つに血の色滲む赤き月あり
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ここに座す月はやっぱり現れてヒイラギナンテン秋の讃美歌
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