片羽根でくるくる回るヘリコプター 楓の種が飛来しをり
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病む猫のただ寄り添ひしかたはらに耳を澄まして何を語らん
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空白のひと日はひとり花のした亡き人思う春の夕暮れ
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亡き祖父と 夢を見る時だけ会える 声も姿も 生前のまま
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届くはず誰か想って詠むうたは 朝日で光る桜とともに
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ここに立ち 猛烈に動く 潮流から 海底の針 ひろう勇気を
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薄紅の花びら乗せてくんくんと友の来た道われの行く道
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新宿に出かけた帰りはこれにのるロマンスカーホームウェイ
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新宿のアルタの前を通りねけ個展見に行く午後3時すぎ
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ケアするこころをもってむきあえばおのずと道は拓かれてゆく
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物価高羽根がはえるというけれどバーコードには何がはえてる
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迎へるは 黄色い拍手 風に揺る 左 水仙 右にレンギョウ
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幾日か初夏の陽気の続きたれば 風が身に沁む花冷えの朝
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僅かな火 下を向いてる暇はない 挑め、逃げるな 笑ってやろうぜ
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陽光に波がきらめくの鞆の浦 繋いだ船の舳先を照らす
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腕を組みかすかに当たる膨らみに心ときめく二の腕あたり
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さくら草 二十二才の君に似て澄まし顔した夢が揺れてる
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イレブンの 透き通るよな眼で見たら 世界もキミも救えたろうね
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寂しさで ただ抱かれたいこの心 わたしの代わりに濡れて泣いておくれよ /慰め
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嘘だけを 固めたような人生に 誰も「ダウト」と云ってくれない
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落ち着いて 静かな心守りては おまえに遇って 堕ちるのこわい
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見た目には元気に見えども痛み持つ ある者体にある者心に
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保有米 昨年以上に備蓄すも 米櫃底つく孫の成長 
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喜寿なれど「来年度も…」と契約の更新すませ白衣をはおる
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その言葉必然持って述べてみろ嘘も真実絡繰定め
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あまぐもがきっと春を連れてきていつか稲穂がみのる季節に
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恨み消え残る敬い離れては 貴方の御多幸心の底から
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毎日の ように野球の 話題あり あっという間に 今年開幕
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もう父に 届かぬ歌を 詠む夜道 去年の桜は今年もそこに
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手の上で眠る小さな命にも恋の季節も換毛期もあり
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