芝ととも刈り倒された除虫菊泣き出しそうな空に白、凛
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お一人様一点99円のキャベツは ひとまず旦那に依頼(ダイコクとライフは方向違い)
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風に立ち波に揺蕩たゆた若稲わかいなは内緒話のこどもらに似て
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北側の民家の隅に 遅咲きの躑躅ツツジ 梅雨入りの足音近し
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割引デー できれば薬局ダイコク行きたいが 先立つものが心もとなく
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チョコミン党 ときどき流行るチョコミン党 好きなほうだが ココスが遠し
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パリッとした おニューの半袖パジャマなり 猫柄の服で ねこをいだけり
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足下にリーフ文様くっきりとこれこそ初夏の始まりの道
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数多なる 詠み人知らずの それぞれの 読み人誰と 詠み人知らず
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忙しく 型枠作る 更地かな それにつけても 早期復興
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大相撲 見るときだけは 今忘れる それにつけても 早期復興 
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岩肌に まだ草も生えず 白きまま それにつけても 早期復興
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花苗の 隣に植える 野菜苗 それにつけても 早期復興
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草むしり 今日はどこまで できるやら それにつけても 早期復興
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百均の 駄菓子盛上げ 客を待つ それにつけても 早期復興
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エアコンの 冷房暖房 日によりける それにつけても 早期復興
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この薬扱い注意気を付けて引きこもります逃亡します
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あの人のくれた鉛筆それだけが記憶のよすがとしてある手に
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居なくても困らない二人だからこそ それが良かったそれが困った
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半歩ずつ譲り合ってるとこに住む 私がそこに行くのを拒む
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君と吾(あ)に 確かにそこにあったもの 金で継ごうか指先迷う
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足元にまとわりついて来る猫を部屋に残してリハビリ散歩
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待ち侘びて運ぶ編み針ゆるやかに カーテン越しに雨の音聞く
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降り積もる憂いのあまりの大きさに僅かに三時間しか眠れず
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この竹は定めたらんや空のはて 駆け昇るさま ただひたすらに
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ふる雨に風に乾きにおののきに いやしてあるかの竹の青
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出迎える猫たちに 手や膝がれ ボディチェックをされるが如し
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雨雲の上に十数機も飛びかひたるラッシュアワーのモニター表示
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本じゃなく本棚を買えうずもれた不発の夢が燃えだす前に
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禿げ上がるおれたちみたいに投げやりな ポッキリ一万吊るしの背広(萌さんへ)
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