凪野 燈
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雲流る切れ間に覗く星空よ 紺の深さは海溝のよう
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霜降そうこうに息吐き出して役目果つ引き出し奥の除湿剤
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死に際にもらうカルピスソーダ薄れゆく記憶の中には甘み
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札幌とは稲健やかに微る風 麒麟の誉れ朝日のように 『ビール』
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気付いたかな会話の隙間がとってもながいの 認めたくなかったけど
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時をまぜてのばしたらどんなゼリーができるだろう苦い味かな
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ある年恋人を川辺でフィルムに撮った いま、そこは道になっている
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湿度高くはじまらぬ秋 傘をコンビニに忘れ窓も汗ばむ
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死亡事故のニュースを口ずさむと オウム返しする毛玉のロボット
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些細に触れる口の柔らかさその先がわからずネトフリを点ける
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ワインをこぼし後悔と同時に喜びが勝つパーティーをうたう
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見ていない火事を思い出す 住めない家をストリートビューでなぞる
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文が止まり、時間が進む 夜の音は僕の上を通るらしい
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アスファルトの坂を登る ケルンのピアノを耳に駆け足
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