語り得ぬものにまみえるその朝に到れるまでの距離を知るため
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負けた日に 心に浮かぶ 曲がある 燃えろよ燃えろ パチ屋よ燃えろ
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南方で兵隊さんが亡くなってエアコン温度すこおし上げる
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女でいたいわたし ワコールの夏ブラにラメ糸の刺繍光る
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ここで詠む 理由をひとつ 示すなら タガタメでなく わたしのためで
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多摩川は小田急線は夕暮れは散歩は君の専売特許
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妻なれば優先席にいざなうは目くばせひとつルーティンになり
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馬車道は海岸通りを過ぎてゆき君が死んでる角を左に
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させよ刺せ丸く尖った月ならば飛行船など簡単でしょう
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眠たさに抗う手立てのエアコンの冷たき風は敵か味方か
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パンケーキ味のリップを買ってみた人が千切れた猫を見ている
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色褪せた写真眺める楽しみを若いやつらは味わえんだろう
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久しぶり!元気だった?無言のあと 気まずくないよと鼻歌アンサー
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父母が愛す酒タバコ ずっと苦手で嬉しい けど淋しくて
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高校時代わかきひにカツ丼食ったこの店でカツをつまみに手酌酒かな
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還暦を越えても未だに一年生同窓会の先輩元気なり
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キーボード繋いだ先はダンボールうつる文字列うつる笑み
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夏の日の長いトンネル出た時の白いまぶしさ、生まれた瞬間
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指先で覆い隠せる大きさに納まりきらない承認欲求
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糸を切れ赤なら余計運命を捨てられるほど君が恋しい
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夢に出てと言えば駆けつけてくれる 好きになっても叶えてくれる?
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星の数数えきれずに受けられるくちづけ数え一指いっしだけ折る
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冷え冷えの白玉作り「おかえり!」と得意顔なる息子らの愛しき /夏休みの思い出
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食欲がないけど焼肉弁当でスタミナ回復八月よ来い
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足運ぶ 医学の大学 見学に 遥かな夢に 今また一歩
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何事も ないことこそが 特別で 今日もこのまま ないこと願う
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帰るよ、が既読になった。それだけで。二人暮らしも悪くないかも
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読みかけの本はお守り いつかの日「しかし警部……」と言わせてみせる
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恋醒めも無計画だよばかは誰痕よりもなお許した挙げ句
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おかわりが つい欲しくなる 生ビール 酔いの怖さを 知らないうちは
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