Utakata
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法尉蠱毒
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1997年生まれ。
外つ國へ羽搏く筈に墜死せる雛の骸を汀に埋めて
8
あれは雛これも雛よと狂火の橋桁に影を縫ひ留めし朝
6
卵殻を破らばヨハネの首級のごと耀う雛が画布を視て居る
6
晴天に喰らふ夢なく事切れし獏の骸を戦火へ焚べる
6
裏山に祀られしモノを忘れなと云ふ姥の抱く嬰児に痣
8
骨のごと皓き槽に満つ
爹児
(
タール
)
へと燐寸を投ず我ぞ火車なり
10
芳年の筆先のごと孕女の胎裂きてみよおまえの血筋
6
陽溜まりに微睡む犬を撫づ手指の皺に憶ゆる白詰草を 母へ
8
十字架は幻なりと汝云ふに罪濯がれたりゴルゴダのごと 父へ
9
風吹かば軍靴の響き聞ゆとて秘めにし誉を獣と云ふ
5
入水せしをとめを喰らふ咎故に鮫の泪は融けずに凝る
4
敷島に殉ぜしをのこも人なりき朽ちよ爛れよと青猫の云ふ
3
獣
(
けだもの
)
の
眼
(
まなこ
)
な輝りそ未だ晝なれば
俟
(
ま
)
てぞかし餌の居並ぶ夜を
4
縫包
(
ぬいぐる
)
み
抱
(
いだ
)
きつ籠る雛のまま年経りてなほ世のおそろしき
3
田園に啼きて撃たれし土鳩さへ巣立てぬ雛を喰殺しをり
3
春風が蹲る華の枷解かば黒山羊の眸にもモネの来たらむ
4
雪景に「ぼとり」落つ赫 華の赫 國を憂いて忘我 血振いす
3
寒空に和毛を曝す幼獣の震え止まねば詩書を火に焚べ
4
「
飼主
(
ゴシュジン
)
の夢には血雨が降るから」と山高帽を被る青猫
3
死して尚「赦す」と
微笑
(
わら
)
う貴女への思慕を綴れど褪せぬ罪咎
5
春雷に悪魔と契る幼児の首刎ね飛ばし罪濯がばや
3
テセウスの舩を
解体
(
バラ
)
しておいて呉れ 此処迄が僕 其処からが君
2
痛み無き體を手にし彷徨えど殺める度に修羅は哭くらむ
3
剃刀の動機が
茎
(
stem
)
を喰む度に血染めの白兎は秒針を追う
4
私
(
わたくし
)
はヒトに
誕生
(
うま
)
れて
幸福
(
しあわせ
)
です 獣血を受ける皿の如くに
2
野晒の
髑髏
(
されこうべ
)
を噛む
獣
(
けだもの
)
が朔夜に人の言葉を話す
5
蝕の夜に手頸の疵は黑く咲き貴女の闇を華に喩える
3
獄死せし友を弔う夕照のごと枯れる向日葵に咎を
襲
(
かさね
)
て
7
死を悟る閻魔蟋蟀の啼く宵に呪詛は密かな因果を称す
3
泥土に咲む蓮が末期を報せれば蜻蛉の翅は枕辺にて鳴る
4