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睡理 梟
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ねむり ふくろう。
医ヰ嶋蠱毒名義で詩も。
1997年生まれ。
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敷島に殉ぜしをのこも人なりき朽ちよ爛れよと青猫の云ふ
3
獣
(
けだもの
)
の
眼
(
まなこ
)
な輝りそ未だ晝なれば
俟
(
ま
)
てぞかし餌の居並ぶ夜を
4
縫包
(
ぬいぐる
)
み
抱
(
いだ
)
きつ籠る雛のまま年経りてなお世のおそろしき
3
田園に啼きて撃たれし土鳩さへ巣立てぬ雛を喰殺しをり
3
神獣の角に蕾みし華を喰べ爛漫と咲む被験體
γ
3
春風が蹲る華の枷解かば黒山羊の眸にもモネの来たらむ
4
錠剤を噛み砕く春に囚われた俺の地獄は淡い桃色
3
雪景に「ぼとり」落つ赫 華の赫 國を憂いて忘我 血振いす
3
寒空に和毛を曝す幼獣の震え止まねば詩書を火に焚べ
3
「
飼主
(
ゴシュジン
)
の夢には血雨が降るから」と山高帽を被る青猫
3
贄として君に捧げた両脚の切断面から黒猫が生える
2
吾が歌は地獄に堕つ可き
同胞
(
はらから
)
を腑分け剥製に仕立つ歌也
1
修羅と化す
屍
(
しかばね
)
は己自身の幽けき糸にて
傀儡
(
くぐつ
)
を廻す
3
「殺す」とも「死ね」とも言わず手に掛けて 捕食者の化身に僕は成れたか
2
白日に蒙昧の砂礫 吹荒び 詩人が猿に能面を鬻ぐ
2
死して尚「赦す」と
微笑
(
わら
)
う貴女への思慕を綴れど褪せぬ罪咎
4
春雷に悪魔と契る幼児の首刎ね飛ばし罪濯がばや
2
テセウスの舩を
解体
(
バラ
)
しておいて呉れ 此処迄が僕 其処からが君
2
痛み無き體を手にし彷徨えど殺める度に修羅は哭くらむ
2
デカルコマニー 火蜥蜴を貪り 断頭台の悪魔が嗤う
3
貴方が口移して呉れた錠劑を融かすのは微熱ばかりぢやなくて
4
貌の無い狩人はキミ 凶悪な水銀に死す畸型の
獣
(
けだもの
)
4
「月魄は
夜帳
(
とばり
)
を穿つ孔」と云う
幼児
(
おさなご
)
の背に
蝙蝠
(
murcielago
)
の
2
異形の貴女を愛すと嘯いて裂ける舌先 僕は蛇に成る
3
剃刀の動機が
茎
(
stem
)
を喰む度に血染めの白兎は秒針を追う
3
私
(
わたくし
)
はヒトに
誕生
(
うま
)
れて
幸福
(
しあわせ
)
です 獣血を受ける皿の如くに
2
野晒の
髑髏
(
されこうべ
)
を噛む
獣
(
けだもの
)
が朔夜に人の言葉を話す
4
酸性雨 天使に不死を賜れり 重金属の殉教者の腕
4
憂鬱の譜を奏づ指は白堊なる 青い錠剤 赤い錠剤
3
clematisの毒で殺して 貴女の隣に似合うのは僕の剥製
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