彼岸花 縁取る黄金こがねの 水田に 微笑み浮かべ まどろむ亀石
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暮れなずむ空伸びる影金木犀ふたりでいてもさみしい季節
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談笑の輪から離れて歩く道夕映え淡く川面を照らす
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天橋立股のぞきする景色まるで変わらずがっかりである
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屠殺所に牛はモーと啼き死んでいく象は必ずパオーと啼くのだ
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終わるのも始まるもよし秋の日に私はひとり点景となる
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動けない鉛のようなこの体 キッチンに立つ息子きみ頼もしく
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希望、困難、希望、困難、希望、困難、希望 夜道の街灯
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お疲れ様、ぼへ様 ねこ母も雨降りがち 旦那は「さすが!(また雨!)」と拍手するばかり(苦笑)
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あさつゆの のこる葉先が はみだして えだちょんぎれば とげさしゆずの香
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めざめれば あまどしめずに 四時すぎて よわけあかるい ありゃ十六時
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通院の度に豪雨に見舞われる前世で何か罪を犯した?
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冷やご飯つやつや光る炊飯器おまえはきれいおやすみなさい
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街中で涙まじりの嘆息を漏らしたるそんな日もありデクレッシェンド
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こんぴらんさんこんなのはいかがかな「能ある鷹も時に爪出す」/シャキーン!
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玉葱を植えてる間に昼飯の稲荷寿司二個カラスに食われた
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車出しひと月ぶりに母乗せて病院へゆくいたわりあつて
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エラーから失点重ね自滅する、ヤンキースとか自民党とか
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大谷おほたにに熱かりし秋は往き暮れてようやく扇風機ファンとのわかれぞきたる/来年のBSにもう期待
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かーてんの かげからそっと みつめる おやつまだかな おやつまだかな
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僕は化石だパキケファロサウルスだ 布団の地層の奥底で眠る
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食えばいい「アイス食べてもいいの?だめ?」許諾するたび親でなくなる
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青と白 左右異なる靴下で駆け回れる子が育ちました
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置きわすれられしニットのセーターに顔うづむればにほひなつかし
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落書きのアートのあまりのみごとさに尻を拭くのを忘れて出ちゃった
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五七五は顔と体幹 七七は足腰性器 歌になる僕
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古着捨て「大好きだつた」と子が泣ひて罪悪感のもえるごみの日
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おこったらこわいんですよ かみますよ されるがままのおじいさん猫
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秋曇り 風無き道を 一人行く 見上げた空に セキレイ一羽
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気まぐれな蝶さながらに潮風に吹かれ彼女は海路ヘいでん 
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