ただ食いと言うのは映画で見ただけで小津や黒澤映したかしら
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まだ未練残して次に行けなくて君への想い重く引きずる
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いのちとはいたはしきものしかすがに人のことには思ひかけない
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虫達よ春の花々咲きだした目立つ黄色でみな待っている
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天に立つメタセコイヤをともにしてヒラヒラ花のこぶしの白き
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昨日さくじつの雨を追ふごと風強し。これを津軽では「雨返しあまがえし」と言ふ
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梅の枝切りて小枝をチップとす夫はゆっくり畑に返す
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月一度 短歌の会で短歌うたを詠む 辛口あるも優さしくもあり 
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緊張を 紛らわすために 筆をとる 震えた線も 良い味かも
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君が写る 写真を一枚 くださいな ほらすぐ雲に 隠れてしまう
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泣きながら互いに手を繋いだ日から朝の占いを信じるのをぼくらはやめた
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〈間奏約50秒〉が惜しいみたいに喋るあなたの手を見つめる
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豆苗の最終形態検索し、豆の苗だとハッと気付いた
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八つ当たり 他の女を濡らしては なみだをそこに 潜り込ませる   
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お彼岸に 両家の墓参ぼさん ハシゴする 義母ははも並びて ありがたきかな
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荒立てる愚かさを知り「真面目過ぎ」を笑い流した うるせえ黙れ
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消え去らぬ嫌悪で血肉が溶けていく まともになる頃白骨死体
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浅はかについ羨んでは撤回すどの世代にも苦労それぞれ
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久しぶり 今年最初の ランニング ちょっとだけでも 足バッキバキ
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ああ、これか。 憎悪がひとを刺すでなく がこの掌を 押し出すんだね
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親も友も知らぬ私の弱さ知るあなた思い出して夫婦となりぬ
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信じると決めたその日の誓いこそ この身に刻む「我の記念碑」
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かねなくて がんばってみた「どうはん」は かいわもないし 心もないよ
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あの土手で この先、一生 ひとり身で 君抱く夢に なみだを流す
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めくったら次もクッキーあるような缶のふりして君と話した
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必然と信じたら負け 激情が導く 孤独と衆合地獄
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燃え尽きることなく無理せず省エネでなるべく正しく幸せでいて
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風呂上がり あれ、今日なんか寒くない あ、そっか!もう春がきたのか!
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旅立ちに親が持たせた和菓子かな涙の塩が甘さ引き立て
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異動してほしいアイツは残ったか恩義の上司を涙で送りつ
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