未来にはあとかたもない労働のさくさくとして刻まれる時
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朝起きてニュースで知った大震災あの映像を忘れられない
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防災の備えあらためて考える リュックに入れたき ねこゴハンと水
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傷ついた街を照らしてくれていた あの日のひかり わすれないから>震災30年によせて
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振られた日無意識につけたラジオから流れる歌は暗く悲しく
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教室に自分を置き忘れたままで大人がみんな大人に見える
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降り飽きた 雪と雪との 間隙に 空即是色 ヒヨドリが舞う
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一・一七しんさいを ガキの我知るは 朝ラジオ 震度六は 今も忘れじ
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栄光と挫折と再起の物語 我らの好む漢が勇退
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鎮魂のトランペットの音のひびく神戸は寄りそう悲しみ灯し 
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従兄見た 高速倒れ 家潰れ 神戸の地震 早三十年みそとせ
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横綱の引退の報さもあらん 限界だろう誰もが敬礼
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一人ずつ 違いがあって 面白い 面倒くさいと 思う人あり
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どちらかと言えば絶景温泉派あの娘は新婦あの娘と行った
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失敗を恐れず熱くなっている恋の予感は考え甘い
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てのひらに収まるサイズの宇宙から手軽に受ける女神の啓示
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棚の奥にきみの魔法のティーポットあまい薫りの記憶だけある
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思いがけぬ旧友よりのメイルにて「明鏡に載らぬが…」と生存確認
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生きている私もキミも生きているあの日から三十年の朝
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取り組んだ一心不乱レコードにならない作詞家は熱いだけ
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西空に 彷徨さまよう様な 白き月 昨夜ゆうべ流した 涙が凍り
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早起きの褒美ならむや未だ暗き部屋に差し込む月明明あかあか
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神様にすがる思いも末吉に 伸びしろありよと看護師は笑む
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病院の待合室は皆黙るフェイクの花にも少し癒さる
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英明の神業ショット新聞に載るかなにあゝ地震に勝てず
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復興の 希望の光り灯る地に 三十年の 苦悩を想ふ 
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実力を発揮も敵はいないからまあいいかなと「ゆっくり」「のんびり」
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新しく作る時間に逃げたいの介護疲れへ新聞に載る
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不幸せを隠すように笑ってた頃のあなたが好きだったのに
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ふわふわと落ち着く場所に迷ってる 私と雪は多分親戚
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