朝6時半に電話は病院の「来て下さい」でエレジーだった
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こけるのは じゅうごねんぶり ちゃりんこで あんときゃ雪で きょうは押しこぎ \ ニット帽でセール
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帰るなりチョコをむさぼりあちこちでこぼしあふれる寝不足のゆび
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憂鬱な冬の正午はフレーバー・ティーの織りなす世界へ逃げろ
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一人には広い机の埋め方を忘れて焦げたトーストを噛む
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遠くから 夜に車で 来てくれて 食事後送迎 勘違いしちゃう…(から辞めて)
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糖尿をやめたいまたも初恋をしたからビール我慢できない
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クソ真面目それを恥じるな初老なり我が身誇れる瞬間が来る(息子へ)
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いいとこに 勤める彼に 振られてね より有名なとこ 絶対入る!
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レコードにならない作詞家だったと初恋してはエレジーばかり
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原宿の竹の子族を不良だと?あんな真面目な子達はいない
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あの時代考えられぬ事だった気軽にタトゥー、飲酒、薬物
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育んで巣立ちの時に何思う親鳥たちの別れの強さ
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久しぶり!の 男のLINEは 気をつけて  信じちゃダメよ 下心なの
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もういらぬ内緒のスマホ鳴ったので妻は見せてと過去だったのに
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都合よく好きな人だけ集まった人生なんて作り得るのか
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過ぎたことらしい そんなあ ミュウツーがせんとうふのうになるときの味
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微笑んでくれるのならば ”worst”の例文の主語は僕でもいい
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深呼吸するのにこんな緊張を強いられるのか彼のとなりは
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車窓てふ銀幕ながれ、象徴のごとく南天しきり見つくる
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アッというリアクションの子慎んでオーガニックの紅茶を注ぐ
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生き生きと生きているのが生活で そうでなければ死活問題
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落葉もあれば留まる葉も有りて秋の樹木も人の世の様
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寝返りをうつたび目が合うふたり そんなわけない合わせにきてる
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蚊にくわれ 首を傾げつ こよみみる 霜月すゑから数え幾日
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冬晴れの徳山ダムの谷深し吹き上げる風に仔犬踏ん張る
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徳山湖沈む『ふるさと』の映画観て冠山のトンネル抜ける
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老い二人一歩たりとも外に出ずこの冬初の吹雪を過ごす
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疲れたな〜 ヒール脱ぎ捨て ジンジンと 痛くなる足 湯船にプカリ
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対座するキミは私が行く星のつかいと知れて共に微笑す
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